1999年生まれ。2013年、「千年に一人」「天使すぎる」とネットで大きな話題に。ロート製薬や住宅情報館などCMに出演する他、テレビ・バラエティ番組などで幅広く活躍中。15年に「第26回日本ジュエリーベストドレッサー賞」を最年少で受賞し注目を集めた。16年3月公開の角川映画40周年記念作品『セーラー服と機関銃 -卒業-』で初主演を務め第40回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞、主題歌「セーラー服と機関銃」でソロデビューも果たした。その後も『ハルチカ』で主演を務めた他、『銀魂』『斉木楠雄のΨ難』(友に17年)にヒロイン役で出演。18年1月からはバラエティ番組『ぐるナイ』内“ゴチになります!”の史上最年少メンバーに。また『銀魂2 掟は破るためにこそある』(18年)、ドラマ『今日から俺は!!』(18年)にも出演。19年には『十二人の死にたい子どもたち』『キングダム』、『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』『午前0時、キスしに来てよ』など多数の話題作に出演。20年は、『今日から俺は!!劇場版』『弱虫ペダル』『小説の神様 君としか描けない物語』『新解釈・三國志』が公開。
大樹君、流司君、杏花ちゃんとご飯に行ってすぐに仲良くなりました
デビュー作以降ぱっとせずネットでの中傷に心痛めている高校生作家・千谷一也(ペンネーム、千谷一夜)と、超売れっ子で美少女としても知られる高校生作家・小余綾詩凪(ペンネーム、不動詩凪)。対照的な2人は共作することになり、反発し合いながらもベストセラーを目指して小説を書き上げていく。『小説の神様 君としか描けない物語』は、夢をあきらめずに助け合って進もうとする2人の姿を美しい映像で表現した青春映画だ。
鬱々とした一也にビンタを放つ強気な詩凪を演じるのは、人気女優の橋本環奈。一也を演じた佐藤大樹との共演について、役作りのこと、撮影現場の思い出、SNSへの向き合い方など、さまざまな話を聞いた。
橋本:詩凪(しいな)のどこか影のある感じがいいなと思いました。ドSで強がっているところも、実はこういう悩みを抱えていたんだなあ、と後でわかるので、多くの人が共感できる役柄かなと思いました。詩凪と一也が共作することで夢に向かって挑戦する姿を描いていますが、挫折する人が多い中で、共作という形でも作品を書くことをあきらめないという2人に胸を打たれました。
橋本:すごく強がりな女の子ですが、久保監督からは一也との距離感を細かく指示されたので、そこは気をつけていました。
橋本:1回テストがあって、その時は(力が弱く)ペチンとなってしまったので久保監督に「もう少し思い切ってビンタしてほしい」と言われました。大樹君も「全然痛くないから大丈夫」と言っていたので、本番では思い切り叩いたらわりとしっかり入った感じですね(笑)。
橋本:一也と詩凪が共作をするという設定の中で、2人の距離感を「今は5メートルかな」「今は2メートルになった」「もう30センチぐらい近づいて」というように数字で言ってくださったので、それを軸にお芝居を作ることができました。例えば「友だちの距離感で」と言われても、人によって捉え方は違うじゃないですか。でも、久保監督は数字で示してくださったので、とてもわかりやすかったですね。最初はちょっと嫌い同士だった2人が共作をすることで近づいていく感じを、久保監督が思い描く形で表現できたのではないかと思います。
橋本:難しかったですね。セリフは決まっているのですが、小説家だからこそ言葉に重きを置いて話すだろうな、自分が納得していないと話さないだろうな、と思っていたので、そこは気を付けながら演じました。ただ、あまり小説家的な役作りはしていないかもしれません。詩凪という女の子は、表面上は誰とでも仲良くなれてクラスメイトの人気者みたいなキャラクターなので。その別の顔として小説家という一面がある、と捉えたほうがいいのかなと思いました。
橋本:保健室で一也とカーテン越しに語り合うシーンですね。一発で撮影したので特に印象に残っています。久保監督が「段取りなしで1回で撮影するから」とおっしゃってくれたので「ありがとうございます」ということで。照明などの準備中も私と大樹くんは保健室のセットには入らず、別の部屋で待機していました。
橋本:そうですね。人によって違いますが、回を重ねるごとに上手くなっていく人もいるし、一回目の新鮮さがいいという人もいるから、逆に言えば監督がすごく難しいと思うんです。キャストがたくさんいればみんなに合わせることはできないじゃないですか。だからといって間を取るのもちょっと違いますし。私の場合は同じセリフを何回も言っていると心が枯れてくる感じがしてしまうので、久保監督は1回で撮ろうと決めてくれたのではないかな、と思っています。
橋本:どうでしょうか……。ただ、あのシーンで言えば、1回でしか撮れないわけではないんですよ。例えば、朝日を狙っているなら本当に30分の限られた時間で撮らなければいけませんが、そうではないので。とりあえず一発目本番で行きましょう、ということなので、ありがたいな、と思いました。それが成功ならOKですし、もう失敗したら撮り直しもできますし。段取りとテストで良いお芝居をした時にもったいないと考えてくれたんじゃないかなと思います。
橋本:大樹君はコミュ力が高くて、私自身も人見知りしないほうですし、文芸部員役の佐藤流司君と杏花ちゃんの4人ですぐに仲良くなれましたね。クランクインの前日がリハで、地方ロケだったので前日から泊まっていたのですが、その夜に早速4人でご飯を食べに行ったんですよ。翌日、部室でのシーンを撮った時に、久保監督が「昨日のリハより雰囲気いいんだけど、どうしたの?」って(笑)。流司君は現場のムードメーカーでいつもみんなを笑わせて盛り上げてくれました。杏花ちゃんはいつも話を聞いて笑ってくれて、一番年下なのに一番しっかりしていると現場では言われていましたね。撮影終了後も4人でご飯を食べに行ったり、大樹君と流司君とは飲みに行ったりもしましたね。杏花ちゃんは未成年だったので行けませんでしたが。
悪役にも挑戦してみたい
橋本:最近はコロナの件で時間ができましたが、それもラッキーくらい思っていて。忙しいのも幸せですし、休みがあるのも幸せですし、そういう考えなのでストレスはあまり溜まらないのですが、サウナとか温泉に行くのは好きですね。運転するのも好きなので、車で1、2時間程度のところにちょっと遠出したり。
橋本:その時によって違いますが、この作品に関しては、小説を読みました。詩凪は今の作家でいうと辻村深月さんみたいな作品を書いている、というキャラクターだったので、もともと辻村さんの本は何冊か読んでいましたが、他の作品も読むようになりました。
橋本:無駄な時間も必要なのかな、と思うので、あまりキツキツに詰めすぎないようにしていますが、短時間で集中して終わらせるように意識しています。台本を読むときはそれだけに集中しますが、その他は同時進行で進めることも多いですね。
橋本:高校に通って勉強した方が2倍の価値観や楽しさが得られるかな、と考えたのもありますが、地元の福岡を離れたくない気持ちもありました。それに、普通に高校を通っても仕事ができる状況だったので、わざわざ芸能科に通う必要もないのかなと。あまり深くは考えていませんでしたが、勉強したいという気持ちはありましたね。
橋本:おじさんぽい、とよく言われます(笑)。
橋本:どちらもありますね。もともとこういう性格なのですが、やはり環境に揉まれた部分はありますし、私自身が年上の方とお仕事をする機会が多かったからこそ色々な言葉にも責任を持たなければいけないし、接し方にも気を付けなければいけない、ということはよく考えていました。環境が人を変えてくれるのかなと思います。
橋本:難しいですよね。SNSやLINEなどは便利ですが、どうしても自分が伝えたいと思うように相手には伝わらなかったりするので。ただ、SNSを使うことで、言いたいことを文字に起こすことが増えたので、文章力は上がるのかもしれませんね。傷ついている方たちは、いったんSNSから離れるしかないと思いますね。
橋本:でも、慣れたくないな、という気持ちもあります。「全然気にしないです」というのもちょっと違うかな。嫌なことは目にしないようにシャットアウトすることも大事ですよね。ただ、温かいメッセージをくださったり、伝えたいことを書いてくださる方もいて、SNSは気持ちを伝えやすいツールだとは思うので、そこのバランスが難しいのですが、自分が見たいものは見る、見たくないものは見ない、と選別することが大事なのかな、と思います。すべてを受け入れていると身が持たないと思いますね。
橋本:ひとつではないので難しいのですが、いかにその役を生きるか、ですかね。この作品に関していえば、私が詩凪を演じた期間は1ヵ月程度ですが、詩凪には詩凪の幼い頃からの人生があって小説家という道を歩み始めたので、その部分を描かなくてもバックボーンとして見えるように心掛けながら演じました。
橋本:悪役かな(笑)。役者って、自分が1度の人生では体験できないことをできるじゃないですか。会社で働いてみたり、楽器を演奏してみたり、先生になってみたり。そこが魅力なので、悪役も含めて自分が演じたことのない役は何でも挑戦してみたいと思っています。
(text:中山恵子/photo:小川拓洋)
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