2003年にニューヨークに移住し、ドルチェ&ガッバーナの2004年春夏キャンペーンモデルに起用される。その後も様々なハイブランドの広告キャンペーンや雑誌、CMなどで活躍。レニー・クラヴィッツの「Where Are We Runnin’」やベン・テイラーの「Wicked Way」などミュージック・ビデオにも出演している。現在は東京を拠点に、国内外の幅広いメディアで活動している。
ヒュー・ジャックマン主演で日本を舞台にした『ウルヴァリン:SAMURAI』。『X-メン』シリーズのウルヴァリンが、かつて命を救った日本人の実業家から再会を請われ、訪れた日本で壮絶な戦いに巻き込まれていく。
カナダで隠遁生活を送っていたウルヴァリンことローガンを探し出し、日本へと導くユキオを演じる福島リラは国内外で活躍するモデル。これまでPVや短編映画など、映像の仕事もしてきたが、本格的な映画出演はこれが初めて。だがとてもそうとは思えない堂々たる存在感で、ウルヴァリンの相棒にも匹敵するアクション満載の役どころを熱演。数年前までニューヨークを拠点にしていたこともあり、英語も堪能だ。よく笑い、表情豊かに撮影時の思い出をいきいきと語ってくれた。
福島:日本でモデルの仕事を始めて、2003年からニューヨークに移住して活動していたところで、キャスティングに声をかけてもらいました。一緒に働いていた人たちに「演技に挑戦してみたい」と話していたこともあったので、そういう機会が訪れたというか。作品については極秘扱いで、最初は何の作品かも知らないままのオーディションでした。回数を重ねるうちに、ようやくこれが『ウルヴァリン』の映画ということがわかりました。ジェームズ・マンゴールドさんが監督だと知ったときは嬉しかった! 私、『ウォーク・ザ・ライン』とか、彼の作った作品が大好きだったんです。
福島:実はオーディションの終盤に、モデルの仕事のために髪を赤く染めたんです。それでジェームズ(・マンゴールド監督)に「すぐ黒に戻す予定です」と説明したら、「いや、ちょっとそのままキープしておいて」と言われて。その後、出演が決まって、オーストラリアでカメラテストや衣装合わせや話し合いをしながら、髪の色が決まったんです。原作が描かれたのは1970年代ですが、今回の舞台は現代の日本。今、ユキオが東京の街にいたら、どんな感じなのかということも踏まえて、鮮やかな赤になりました。
福島:衣裳スタッフから「ユキオは東京のどんなところで服を買うと思う?」と聞かれて古着屋さんや新しいお店や、何軒かリストを挙げたんです。それを参考にしてオリジナルの衣裳を制作してもらいました。衣裳だけじゃなく、メイク、監督やヒューの意見、それに私の意見も取り入れてもらって、いろいろな人のコラボレーションでキャラクターが形成されたんじゃないかと思います。
モデルとして仕事するときは、スタッフ側のクリエーションの写し鏡というスタンスの場合が多いです。今回、映画の撮影に参加させてもらって、「キャラクターを演じるのはあなただから、どう思う?」と意見を求められるのは新鮮でした。それに対して自分なりに精いっぱい答えを出すこと、自分がどう思うかを言える環境は今までにない経験でした。
福島:和気あいあいでしたよ、本当に。だんだん他の出演者がそれぞれの撮影を終えて帰国していくなか、冗談で「最後に全員を見送ってからオーストラリアから出させて下さい」と言っていたら、本当にものの見事に最後の1人でしたね(笑)。最後の方はアクションのシーンも撮っていたので、やっぱりやりきりたいという思いが強かったんです。撮影中は規則で休み時間が45分間必ずあるんですが、だんだん静かになっていくんですよ、やっぱり人数が減っていくので。
福島:初めはアクション演技を自分で全部やらなきゃっていう気持ちが強すぎて、オーバーワークしすぎで疲れが抜けないときもあったんです。後半には、任せるべきところはスタントの方にやってもらう方がいいと考えられるようになりました。自分でやることにこだわり過ぎず、映画としてベストな状態にするべきというように。
福島:本当にそう思います。これも初めは、ランチタイムと夕食の時間以外はおなかが鳴っても我慢というか。一応セットは飲食禁止って書いてもあったし、パワーバーとかエナジードリンクで凌いでました。そうしたら、まさにヒューが「君は初めての現場で遠慮しているのかもしれないけど、そうじゃない」と。「エナジードリンクが悪いとは言わないけど、それだけじゃ急降下しちゃうから、2時間に1回とは言わないけど、食事しなさい」って。その場ですぐ手配してくれたんです。それからは少量ですけど、おなかがすき過ぎることがないように、3時間に1回ぐらい食べていましたね、1日5食、6食ぐらい。本当に常におなかがすいていました(笑)。4ヵ月たったら、肩にすごい筋肉が(笑)。今は戻りましたけど、当時はジャケットとか入らなくなりました。体重が4〜5キロ増えたので。
福島:そう。だから、ちょっともったいない気もするんですけど(笑)。でも、ジャケットが入るようになりたいっていう、難しいところで(笑)。
福島:目指すというか、本当に自然に発生した感じです。モデルをやっていくなかで、演技と共通している部分もあるのではないかと思い始めて、心の底から演技に挑戦してみたいと思うようになっていったんですね。
福島:好奇心も強い方ですし、機会を与えてもらえるものには挑戦したいです。モデルと女優、2つを経験してみて、似ているところも全く違うところもあると痛感しました。ボクサーとマラソンランナーみたいな感じでしょうか。
福島:映画は毎日どんどん積み重ねていって、スタッフも含めて最後は家族みたいになっていく。みんなで1軒の家を造っているような感覚です。モデルは「初めまして、よろしくお願いします」と挨拶したその日1日で、スタッフの人たちと作品を作り上げる。瞬発力が要求されるパワフルさというか。言葉や動きではない、写真という2次元の表現ゆえの奥深さがあります。でも、今は話したいし、動きたい気持ちもありますね。欲張ってはいけないかもしれないけど、今、両方できているということはすごく恵まれているなと思います。もっともっと経験を積んでお芝居をやっていけたら、と思っています。
(text=冨永由紀)
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