1984年4月13日生まれ、東京都出身。05年、テレビドラマ『ごくせん』で俳優デビュー。翌年、石川北二監督の『ラブ★コン』でスクリーンデビューを果たす。その後、『花ざかりの君たちへ イケメン♂パラダイス』(07年)、『絶対彼氏 完全無欠の恋人ロボット』(08年)、『メイちゃんの執事』(09年)、『MR.BRAIN』『東京DOGS』(共に09年)などのテレビドラマをはじめ、CMにも多数出演。映画は『GSワンダーランド』(08年)のほか、『ドロップ』(09年)でW主演、『BECK』(10年)で主演をつとめている。本名の齋藤智裕名義で執筆した小説「KAGEROU」で第5回ポプラ社小説大賞を受賞している。
万能で忠実、でも毒のある無礼者という主人公の執事・セバスチャンのキャラクターが日本のみならず海外でも高い人気を誇り、シリーズ累計部数1800万部(海外分含む)の大ヒットコミック『黒執事』。待望の実写映画化がついに完成した。
教養も立ち居振る舞いも料理の腕も、そして並外れた戦闘能力も兼ね備える万能の執事・セバスチャンを演じるのは、本作で3年ぶりの映画復帰を果たす水嶋ヒロだ。
舞台設定を大胆に変えオリジナル・ストーリーが展開する本作に水嶋は企画段階から参加、共同プロデューサーとしても大きく貢献した彼に、話を聞いた。
水嶋:いえ、初めてオファーをいただいたときに全巻頂いて読みましたが、実は出演をお断りする前提でした。やらなきゃいけないことがたくさんあったので。ただ、断るにしてもちゃんと内容を把握したうえでないと失礼だと思ったんです。
水嶋:そういうふうに言っていただいて、純粋に「それは面白そうだな」と思って、「やってみたいです」とお返事しました。僕が参加した時点であったのは企画概要のようなもので、ごく初期の段階から関わらせていただきました。
水嶋:全てにおいてアイデア出しをしてきているので、一部を挙げると、オリジナル・ストーリーにするしかないなかで、どういった世界観、ストーリーにするかということ。そして漫画と違うキャラクターを描くことになり、どのようなバランスで原作とすりあわせていくかといった点です。約1年半かけて細かいディテールから練り上げる作業をしてきましたが、すごく楽しかったです。ゼロから作るのも好きですけど、既存の物に対して価値を加えていく作業もすごく好きです。
水嶋:原作出版社から許可をもらえたのが、思い切ったことができるという勇気にもなりました。「黒執事」の良さは活かしつつ、ファンタジーの要素に寄り過ぎず、リアリティのある世界観を作る。そこに生きる人間たちのなかに悪魔が介在し、要所にファンタジーを盛り込んでいく。そのくらいのバランスにすると、漫画を実写化する意味がより出て来ます。実写化するうえで実在感をキャラクター含め出していかなければ、万人受けする作品にはならないので。
水嶋:僕は3年間役者業から遠ざかっていたので、正直ブランクが心配でした。なので、やると決めたらその日から発声練習は朝晩必ず行い、そこから、僕が出せる声のなかで1番セバスチャンに合うトーンはどこなのかを研究していました。声はキャラクターを演じる上で大事だと思いますから。
水嶋:いざ自分の初台詞を迎えたときには、びっくりするぐらい緊張しました。セバスチャンの登場シーンです。初日から過酷でした。
水嶋:今回はオールロケということもあって、スケジュールはロケ地合わせになる分初日からハードなシーンにせざるをえませんでした。でも、とらえようによっては、初めに大変なシーンをこなせば、その後が楽になるとも言えます。僕としては、元気なうちに1対多数のアクション・シーンをやれてよかったと思っています。“悪魔で執事”という設定を説得力をもたせた上で伝えるシーンでもあり、冒頭はお客様の心をつかまなきゃいけない。重要な部分だからこそ、すごく神経も使いました。そこを先にやり終えたのは、ひとつの自信になったかと思います。
水嶋:4ヵ月ほどかけました。事前にアクション監督と打合せをして、本編でやる3つのアクションを全て完成した状態で初日の練習を迎えたいとお願いしました。撮影の本番で最高のパフォーマンスを発揮するためです。その日から、用意された立ち回りをひたすら反復練習して体に叩き込んでいく作業でした。4ヵ月間毎日のようにやってきたので、現場では全く考えることなく体が勝手に動くぐらいの段階までになれていましたね。
水嶋:そうですね。セバスチャンをどう見せていけばいいかと考えたうちのひとつがあれだったんです。実は目の下をほんのりピンクにしています。セバスチャンの目が赤いので、グラデーションを少し付けるだけで赤目と肌の色なじみもよくなるんです。あとは裏設定なんですけど、中身は原作と同じセバスチャンだと思って演じることにしました。原作と映画は時代設定が違いますが、セバスチャンが違う時代の人間の体のなかに入っているということにしました。すると抜け殻になった肉体に宿っていることになりますよね。
よく海外の映画で、死に至る場面のときは役者の目のふちを赤くメイクしてたりするんです。病的な人を描くときは、特に目元をメイクで演出したりしていて。僕は、より不気味な雰囲気を出そうとしていたので、色気につながると思って目の工夫をやってはいなかったんですけどね(笑)。
──作品を見て、“悪魔”という存在についてもいろいろ考えさせられました。困ったときには、ある意味頼れる存在でもある。払う代償は高いけれど、という描き方が面白い。水嶋さんが考える悪魔ってどんなものですか?
水嶋:すごく難しいですよね。正解がないから。「悪魔」と聞くと、残酷なイメージがあるじゃないですか。セバスチャンに関して言えば、人に対して残酷な行為をすることに何の感情も抱かないけど、ある意味まっすぐなところが面白いと思ったんですね。自分の欲求に対してはまっすぐに向き合ってる。セバスチャンには人間が持ち合わせる感情は当然ないですし、価値観も共有できるはずがないからこそ、人間が残酷に思えたり悲しいと思えることを逆にとらえたりすることもあります。何より人間界に長く居座り続けている理由としては、人間を観察することが好きで、人間の上面じゃない奥に潜んでる暗い部分、醜い部分を見たり感じたりするのが大好き。セバスチャンの欲求に忠実に、そういった部分を目的として現場で存在しようとすると、人間役を演じてる方々との差も出て来て、異様な雰囲気に繋がっていくんじゃないかと期待しました。
水嶋:僕は分けて考えていて、水嶋ヒロは“表に出る人”なんです。前に出られる作り上げられた存在なんです。逆に本名の齋藤智裕の本質は、前に出ることが大の苦手なんです。プライベートで写真を撮られるのも緊張してしまう程。この作品に関して、カメラの前に立つ作業以外の2年以上は僕が水嶋ヒロとしてじゃなくやっていたので、当然齋藤の方かな、と思いました。
水嶋:分けざるを得ないというか。基本的には、プロデュースの作業をしてきた僕は素の自分で、水嶋ヒロではないということですね。
水嶋:今後よりも、今はこの作品が世に広まってほしい思いで一所懸命なんです(笑)。この作品をきっかけにいい道がいろいろと開けたら、それは素晴らしいことだと思っています。
(text=冨永由紀)
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