世界的な革命家チェ・ゲバラのボリビア戦線部隊に参加していた日系人フレディ前村の半生を、日本・キューバ合作で描いた『エルネスト』。この映画の大ヒット御礼舞台挨拶が10月14日に有楽町スバル座で行われ、主人公のフレディ前村を演じたオダギリジョーと阪本順治監督が登壇した。
1967年10月にこの世を去り、今年、没後50年を迎えるキューバの革命戦士チェ・ゲバラ。本作は、革命家として今なお世界中で愛されているゲバラと行動をともにした日系人フレディ前村の半生が描かれていく。
公開前からオダギリの全編スペイン語でのセリフ、12キロも減量して臨んだキューバロケなど、役に向き合うその真摯な姿勢が多くの人の胸を熱くしていた本作。
オダギリはフレディ前村の役づくりについて「髪の毛を1年半伸ばし続け、スペイン語も準備を入れたら約1年は習得に時間が掛かりました。爪と髭も3ヵ月ほど伸ばしっぱなしにしたので、生活に支障が出るほど大変でした」と振り返った。
「フレディ前村のご家族に映画化の許可を取りに行くところから始めました」と話す阪本監督は、「フレディ前村のお姉さんであるマリーさんが、医者になろうとキューバに渡った弟が、武器を手に人を殺めるかもしれない道を選び、苦しんでいたんじゃないかと仰っていた。それを聞き、本作を戦争映画として描くのではなく、フレディ前村の学生時代にフォーカスしようと思いました」と語った。
また、2人にとってのチェ・ゲバラとは? という質問に対し、オダギリは「カストロやカミーロもそうですが、日々の生活の送り方や生き方が全然違う。国のために、革命に身を捧げるなんて普通はできない。彼らの生き方を知ると、1分1秒も無駄にできないと思わされました」と語り、阪本監督は「キューバ革命を成功させた後、それなりの地位を得たにも関わらず、権力にしがみつかなかった。今の政治家とは大違いですね」と皮肉交じりに語り、会場を沸かせた。
最後にオダギリは「この作品は40代を迎えた僕にとっての集大成だと思っています。この作品、僕が演じた役を越えるというのが、これから先の僕の課題だと思います」と熱く語っていた。
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