山田洋次監督が33年前に監督した名作『幸福の黄色いハンカチ』。この映画をリメイクした『イエロー・ハンカチーフ』のトークイベントが6月22日にスペースFS汐留で行われ、山田監督と、『幸福の〜』でメインキャストの1人を演じた桃井かおりが登壇した。
[動画]『イエロー・ハンカチーフ』試写会トークショー/山田洋次監督、桃井かおり
山田監督は、当時、桃井をキャスティングした理由について、「ちょうどテレビで大活躍なさっていた頃で、彼女のタイプの演技は珍しかったんですね。歌うように、さえずるように芝居をする。そんなの今まで見たことがなかった」とベタ褒め。一方、桃井は自分がキャスティングされたことに関し、「誰が降りたんだろう、この役ってと思っていた」と答え、会場を笑わせていた。
また、この映画の撮影で、「まだ、2時間もあるわ」というセリフがうまく言えず、50回以上もテイクを重ねたという。これは女優・桃井の最多テイク記録。「忘れられないんです。すごく落ち込んでいたら、その日、武田鉄矢くんが調子よく、終わったときに、『いい日もあるからさ』って慰められて、すごく腹が立った。そしたら健さんが『ああいう風に調子に乗るような人間にはならないようにしましょう』と(笑)」。
一方、山田監督は、高倉の役者魂にまつわるエピソードを披露。「刑務所から出てきて、初めてビールとラーメンとカツ丼を注文して食べるシーンのために、高倉さんは2日間絶食した。理由は、ラーメンをいかにおいしく食べるかへのこだわり」と山田監督。途中、高倉に「ちょっとは食べた方がいいのでは」と助言すると、「そりゃあ、腹減っているから食いたいんですけど、エサを与えると仕事をしなくなるんです」という返事が返ってきたという。
今回、オリジナルキャストでもある桃井は、オファーを受けリメイク版にもチョイ役で出演。そのリメイク版で高倉の役を演じているのがウィリアム・ハートだ。司会から彼はどんな人だったかと聞かれた桃井は、「会ったときに『ヤッダー』って思うくらい太ったおじさんになっていた。『アレッ? ウィリアム・ハート似の照明のおじさん』って思うくらい。それがプレミアで再会してみると、すっきりして別人になっていて」と、ウィリアムが役作りで、普通のおじさん風になっていたと桃井。「私たちも、もうちょっと緊張しなくちゃいけないと思った」と、彼らのこだわりに感化を受けたよう。
また、そのウィリアムに「すっごい優しくしてもらった、好きになられたかなって思うくらい」と話し、会場を沸かせた桃井。だが、「そしたら誰にでも優しいって話を聞いてしまい、ちょっとガッカリしちゃった」と本音を明かしていた。
『イエロー・ハンカチーフ』は6月26日より東劇ほかにて全国公開となる。
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