【落語家・瀧川鯉八の映画でもみるか。/第10回】
人に語れるような趣味がないので、3年前に三線(さんしん)教室に行ったことがあります。
沖縄音楽ってなんかいいよねぇくらいの感じで。
カルチャースクールだし、初心者大歓迎、手ぶらで大丈夫、ってことだったので気楽な気持ちで。
音楽経験もないので全然上手くできないんです。
全然上手くできないと意欲もなくなって、結局一度行っただけでしたが、先生がお手本で弾いて歌ってくれたのを間近で聴けたので、それだけで大満足でした。
その時に聴いた「十九の春」という歌がとってもよくて。
調べたら、昔からある沖縄民謡ではなくて50年前の歌らしいんですが、とってもよかった。
妻がいる男性に恋した女性の気持ちを歌ったもので、もの悲しく、でもすっきりした曲調で、でもそれがまた悲しくて、不思議な魅力があるんです。
20年程前にヒットした映画『ナビィの恋』でもこの十九の春が歌われています。
むしろこの歌の内容がストーリーみたいなもので、きっとこの歌を聴いて映画を作ろうと思ったんじゃないかなぁと思いました。
全編、音楽が素敵で。
音感映画でもあって。
ぼくは無知で存じていないのですが、出演して歌ってる方々は伝説的な沖縄民謡の名人なんだそうで。
凄いんだこれが。
見てほしいです。
本物の芸ってのは凄いんだやっぱり。
顔に刻まれた年輪が物語ってるんです、歴史とか喜びとか悲しみとか苦労とか芸の凄みとか。
また、その方々の演技もいいんだよなあ。
とくにおじいがいい。
おじいが主役といっていいです。
おじいを見てほしい。
最後に「ワンダフル」って言う台詞があるんですが、あれもうたまんない。
こういう人間でありたいと思うなあ。
悲しいときにも悲しい顔しないんだ、おじいが。
暗くならないんだ、おじいは。
辛いことあっても辛そうにしない。
おじいいいんです、ほんと。
「おじいに恋」なの、この映画は。
そのあとCDで十九の春聴くのがおすすめです。
からっとすっきり爽やか、でもその裏にある感情とかもちゃんと想像できるようになってるんだけど、やっぱり爽やかで笑顔で。
沖縄の踊りのときの手の動き形をカチャーシーというんだそうで。
喜びも悲しみもごちゃまぜで生きるという意味があるらしいんですが、ほんとそんな映画で。
でも爽やかでユーモアのほうが圧倒的に多くて。
いい映画です。
自粛期間が終わったら沖縄に遊びに行ってほしいし行きたいです。
それまでは映画『ナビィの恋』を見て沖縄に思いを馳せよう!
如何せん先生スパルタだから。こっちが勝手に抱いてる沖縄のイメージにないから、スパルタ。
ぼく怒られるの嫌いだから。
※【鯉八の映画でもみるか。】は毎月15日に連載中(朝7時更新)。
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