巨匠・山田監督が最新作舞台挨拶で「判決を待つ被告のよう」と客席の反応を気にする

山田洋次監督
山田洋次監督
山田洋次監督
山田洋次監督
京都四條南座の様子

山田洋次監督が人間のおかしさと哀しさを綴った珠玉作『東京家族』。その初の一般試写会が10月4日に京都四條南座で行われ、山田監督が舞台挨拶を行った。

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同作は小津安二郎の名作『東京物語』にオマージュを捧げた作品でもあるが、今夏、英国映画協会が発表した映画監督が選ぶベスト映画という権威あるランキングの第1位に『東京物語』が選ばれたことについて山田監督は「今年は『市民ケーン』を抜いて『東京物語』が1位になったと世界中で話題になりました。時を越えて国を越えても『家族とはやっかいなもんだ』と世界中の人が悩みを共有できる、そういうところが評価されたということでしょうか」と話していた。

最近はデジタル上映の劇場が増えるなか、この日は35mmフィルムでの上映を実施。山田監督は「映画もフィルムと共に110年の歴史ですが、今、まさにそのフィルムがなくなろうとしています。場内が暗くなり、映写機を通じて明かりが出て、そして映し出される画像には独特の味わいがあるものです。そういう意味でも今日は大事な上映会。明かりが消え、暗くなり、カタカタとフィルムが回り出す。そういう雰囲気での映画を楽しんでいただければと思います」と客席に語りかけていた。

また、同作は東日本大震災によって製作を延期した経緯があるが、当時の思いについて「最初は茫然として、これから一体どうなっていくのかという思いだけでしたが、次に原発のメルトダウンという事態になり、原発というものの認識が足りなかったと思いました」と山田監督。そして、製作を進めるかどうかを関係者で話し合った結果、「撮影を中止することは経済的にも問題があるのですが、一旦中止し、時間をおいてみようという結論に至った」と振り返った。

そしてようやく初の一般試写となったわけだが、さすがにこの日は巨匠・山田監督も、「一般の方にご覧いただく試写は今日が全国で初めて。ですので、今日は皆さまがどういう風にこの映画を感じるか、判決を待つ被告のような気持ちです」と少し緊張気味だった。

『東京家族』は2013年1月19日より全国公開される。

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