「パレード」「悪人」などで知られる吉田修一の原作小説を映画化した『さよなら渓谷』。この作品が6月22日に公開となり、有楽町スバル座で行われた初日舞台挨拶に、主演の真木よう子をはじめ、大西信満、鈴木杏、鶴田真由、大森立嗣監督が登壇した。
同作は、15年前に起こったある事件の被害者と加害者が15年の時を隔てて夫婦として暮らしているというストーリー。映画が進行していくと同時に、2人の間に起こった出来事、そして、2人が一緒に暮らすようになった真の理由が明らかになっていくというもの。
7年ぶりに単独主演をはたした真木は、役を引き受けた理由について「演じる上で、すごく覚悟がいるし不安もあったんですけど、それ以上に、まず作品に魅了されたし、ほかの女優さんが(この役を)演じている姿を見たくないと思った」と説明。
「役が抜け切るのに時間がかかったか?」という質問には「映画の取材とかって普通、(撮影が終わってから)時間が空いちゃって、(質問に対して)どうだったかなって考えちゃうことがあるんですけど、この映画だけはまるで昨日のことのように『あのときはこう感じていて』とスラスラ言えちゃう。それくらい染みついて、役になっていたかなと、今になって思います」と話した。
同じ質問に、真木の夫役を演じた大西は「真木さんと同じで、去年の夏から秋にかけて、この作品に関わっていた日々のことは、とても生々しく鮮明に覚えています」と振り返った。
また鶴田は「台本を初めてもらったときに、本当に難しいお話だなと思って、この難しい役を2人(真木と大西)がどうやって演じるんだろうって思ったし、自分の役をどうやって演じようかと思った。ただ、一筋縄ではいかないっていうのは、ある意味役者冥利に尽きることであって、試写会で見て本当に素晴らしい作品になっていたので、参加させていただけたことをすごく嬉しく思っています」とコメント。鈴木も「まったく鶴田さんと同じ、難しい作品でした」と同意を示していた。
その後、登壇者にはサプライズという形で、原作の吉田からの手紙が読まれた。真木は吉田が綴る「まずは今回『真木よう子』という女優に出会えて、本当に良かったと思っています」という文面を皮切りに、吉田が丁寧に綴るねぎらいと賞賛の言葉に、感極まったのか、目に涙を浮かべながら聞き入っていた。
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