青山真治監督がメガホンをとり、菅田将暉が主演した『共喰い』が、第66回ロカルノ国際映画祭コンペティション部門で上映され、「YOUTH JURY AWARD最優秀作品賞」と「ボッカリーノ賞最優秀監督賞」の2冠に輝いたことがわかった。
「YOUTH JURY AWARD」は若い審査員たちが選ぶ賞で、「ボッカリーノ賞」はスイス国内の批評家たちが選ぶ賞。青山監督にとって同映画祭での受賞は、審査員特別賞を受賞した『東京公園』(11年)以来2度目となる。
同作は、作家・田中慎弥の第146回芥川賞受賞作の映画化作品。昭和最後の夏の山口県下関市を舞台に、暴力的な性癖がある父をもった17歳の男子高校生の濃密な血と性を描き出す。
8月15日には上映前に舞台挨拶が行われ、主演の菅田がイタリア語で「ロカルノに来られて嬉しいです」と挨拶し、最後に「以上」という意味の「BASTA!」と言って締め会場を湧かせると、青山監督は「8月15日という日本人にとって大切な日に私の第2の故郷であるロカルノでワールドプレミアとしてお披露目できて嬉しいです」と語った。また上映後は、エンドクレジットが終わるまで席を立たない観客が続出。すべてのクレジットが終わると、熱い拍手が湧き上がっていた。
今回の受賞について青山監督は「『共喰い』の世界と主人公・遠馬の苦悩が、若い人たちに理解されたことが何よりも嬉しいです」とコメント。
一方、菅田は「『共喰い』の遠馬は19歳の自分の全てをさらけ出した作品です。だからこそ、日本以外でも若い世代の皆様に遠馬の葛藤が届いたことが何より嬉しいです。心から感謝しています。『共喰い』を経て、俳優として人の心に残る作品を産み落としていけるように頑張ろうと改めて思いました。全力でもがいていきたい、と。自分の生きる指標ができました。本当に感謝です」と、その思いを吐露している。
『共喰い』は9月7日より新宿ピカデリーほかにて全国公開となる。
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