少子高齢化が進む日本では、若者の映画離れが顕著だといわれる(詳しいデータはないが)。「いかにして若者を映画館に来させるか」が死活問題で、映画会社やシネコンもいろいろと知恵を絞っている。2010年公開のレオナルド・ディカプリオ主演『シャッターアイランド』では「超日本語吹き替え版」と題して、字幕翻訳の戸田奈津子の監修の下、作品のニュアンスを尊重した意訳を行った。昨年公開の『貞子3D 2』では「スマ4D」と題して、公式アプリをスマホにダウンロードすると映画と連動して振動したり音声が出たりする仕掛けを行った。シネコンではTOHOシネマズが高校生料金を500円値下げして1000円にしている。
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一方、アメリカでは若者が映画館に足を運んでいる。MPAA(アメリカ映画協会)が発表した2013年の映画人口分布を見ると、2〜11歳が12%、12〜17歳が13%、18〜24歳が17%、25〜39歳が23%、40〜49歳が12%、50〜59歳が11%、60歳以上が12%。2〜11歳と25〜39歳を合わせたのがファミリー層だと考えられるが、これが全体の35%と最も多い。ただし10代から20代前半(12〜24歳)が30%と続いている。この若者層に向けてアクション映画やアメコミヒーロー映画が数多く作られている。ただし、日本では若者層が少ないため、これらのアクション映画やアメコミヒーロー映画がヒットしづらいのが実情だ。
逆に、日本で割と受けているのが老スターの出演作だ。ブルース・ウィリス主演の『RED』シリーズや、シルヴェスター・スタローン主演の『エクスペンダブルズ』シリーズ、スタローンとアーノルド・シュワルツェネッガーがそろい踏みした『大脱出』に、40代50代が中心に足を運び、興行収入10億円前後のヒットとなっている。
ウィリス、スタローン、シュワルツェネッガーが一世を風靡した頃、彼らの作品を支持したのが当時10代、20代の映画ファン。スターの老齢化と共に映画ファンも年を取り、今40代、50代の年配ファンが老スター人気を支えているのだ。ウィリスやシュワルツェネッガーは再び人気が出ており、テレビCMにも出演しているほど。
ところで、『RED』『大脱出』の製作はサミット・エンタテインメント、『エクスペンダブルズ』はニューイメージフィルムズ。大手のメジャースタジオではなく、中小のインディーズが作っている。老スターをメジャーが主役に起用することが激減し(若者には人気が落ちているため)出演料が安くなったことで、逆にインディーズが起用しやすくなったのだ。彼らは世界的には知名度が高く、劇場公開後のレンタルなど2次使用では人気のため、インディーズが彼らを主役に据えたアクション映画を製作している。
特に『エクスペンダブルズ』シリーズは“往年のアクションスター”が数多く出演しているのが特徴。11月公開の3作目にはスタローン、シュワルツェネッガーと前作に登場した顔ぶれの他、ハリソン・フォード、メル・ギブソン、アントニオ・バンデラス、ウェズリー・スナイプスが新たに出演している。(文:相良智弘/フリーライター)
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