5月下旬〜6月公開作の興行成績をまとめた。6月に入っても好調なのは『アナと雪の女王』だ。5月25日時点での興収は198億円だったが、6月29日時点で242億円。7月9日にオンデマンドで先行配信され、16日にMovieNEX(ブルーレイ、DVD、デジタルコピーのセット)で発売されることが発表され、さすがに勢いが鈍ってきたものの、この1ヵ月で売り上げた興収は40億円以上となる。歴代興行成績2位『タイタニック』(262億円)まであと20億円。6月28、29日の週末の興収は2億7438万円。届くかどうか微妙な状況だ。
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1位は『青天の霹靂』の10億円。劇団ひとりが、『陰日向に咲く』に続き自ら書き下ろした小説で監督デビューを果たした作品だ。『陰日向に咲く』は2008年に公開されて興収19.5億円を記録しており、本作もヒットとなった。配給元の東宝によれば、客層は男女比が49対51、年齢別では20代を筆頭に30代〜50代が多くを占めているという。『陰日向に咲く』と同じテイストの笑って泣ける感動作ということで、幅広い客層を集めたようだ。劇団ひとりが主演の大泉洋と共に数多くのテレビ番組に出演してPRした効果もあったようだ。
2位は『X-MEN:フューチャー&パスト』の9億円。11年『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』、13年『ウルヴァリン:SAMURAI』では届かなかった興収10億円まであと一歩と迫っている。『X-MEN』のオリジナルキャストが出演した3作目『ファイナル・ディシジョン』は06年に公開されて興収15.3億円を記録している。本作にはオリジナルキャストが集結しており、“元祖”の根強い人気がヒットを後押ししたようだ。
3位は『MONSTERZ モンスターズ』『ノア 約束の舟』の8億円 。『MONSTERZ』には山田孝之と藤原竜也が出演しているが、特に藤原は悪役を演じた時の興行力があり、昨年は『藁の盾 わらのたて』(18.3億円)のヒットに貢献した。本作でも悪役の興行力を発揮したようだ。また、製作元の日本テレビを中心に、2人で数多くのテレビ番組に出演してPRした効果も表れた。
一方、『ノア』は公開9日間で興収8億円なので、最終的には10数億円になりそう。洋画実写で10億円超えは『アメイジング・スパイダーマン2』以来となる。動物が大挙して箱舟にやってきたり、大地を洪水が襲ったりするスペクタクル感のあるテレビCMが観客の関心度を高めたと思われる。また、「約束の舟」と副題を付けて、映画の内容である「ノアの箱舟伝説」を分かりやすく伝えたことも効果的だったようだ。
なお、6月21日から公開された『超高速!参勤交代』が初日2日間で興収2億円をあげ、6月公開作の邦画としては最高の出足となった。5日以内に江戸に参勤交代することになった弱小藩の奮闘ぶりを描く娯楽時代劇で、明るい作風が観客には好評だったようだ。(文:相良智弘/フリーライター)
[5月下旬〜6月公開作ランキング]
1位 『青天の霹靂』10億円
2位 『X-MEN:フューチャー&パスト』9億円
3位 『MONSTERZ モンスターズ』8億円
『ノア 約束の舟』8億円
※『アナと雪の女王』238億円
6月22日時点。ムビコレ調べ
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