「映画好き」と言われれば言われるほど、聞きづらくなるのが映画の一般常識。理解しているようでいて実はよく知らない。こっそり訊ねたら「そんなこと知らないの?」と呆れられそう。本コラムでは話題の映画ブルーレイを題材にしながら、いまさら聞けない映画の一般常識や用語についてお話していこう。
●今回のお題「4Kスキャン」
前回お話しした「スカパー!4K」の4月放送予定を見ると、周防正行監督作品『Shall We ダンス?』(95年)、『シコふんじゃった。』(91年)、『ファンシイダンス』(89年)がラインナップされている。いずれもペーパービュー(PPV/540円)となるが、フィルムの質感を余すところなく伝える素晴らしい放送プログラムだ。
・【超簡単! いまさら人に聞けない映像用語辞典 7】家庭版と劇場版、話題の「4K」には2種類あるって知ってました?
4Kデジタルマスター提供は角川映画。角川映画と言えば、昨年に登場した「4K Scanning Blu-Ray」を思い浮かべる方も多かろうが、2K解像度のブルーレイ版制作の原版であった4Kデジタルマスターが使われている。4Kデジタルマスター版『Shall We ダンス?』はテアトル新宿で一夜限りの上映が行われたが(昨年9月)、実は2K解像度での上映であり(※1)、家庭で4Kプロジェクターや4K大型テレビ鑑賞する「スカパー!4K」放送版のクオリティにはとても及ばないのが事実だ。ブルーレイを4K解像度にアップコンバートして鑑賞しても、劇場上映版以上に高精細な映像を楽しめる。
[※1=日本のすべての上映映画館では、一般には4K解像度でデジタル上映をしていない。フルハイビジョン(2K解像度)上映となる。]
さてここで注目したいのは、4K放送やブルーレイの作品タイトルに続いて列記されている「4K Scanning=4Kスキャニング」という用語である。フィルムからのビデオ映像信号化、さらにはレストア(修復・復元)作業において、4Kスキャン(4K解像度でのスキャニング)という用語は欠かせないものとなっている。(後編へ続く…)(文:堀切日出晴/オーディオ・ビジュアル評論家、オーディオ・ビジュアル・ライター)
堀切日出晴(ほりきり・ひではる)
これまでに購入した映画ディスクの総額は軽く億を超えることから、通称は「映画番長」。映画助監督という作り手としての経歴を持ち、映画作品の本質を見抜くには、AV機器を使いこなすこと、ソフトのクォリティにも目配りすることを説く。
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