誰得?の実写ドラマ製作
せめて『ここさけ』に迷惑はかけないで欲しいが…
特別なアニメファンでなくても、その名前を聞いたことがあるだろう、『あの花』の通称で知られる『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』。2011年4月にフジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」で放送されてアニメファンから人気に火がつき、2013年に公開された劇場版はアニメファンのみならず広く支持されて興収10億円を記録したオリジナル・アニメだ。
この秋には『あの花』と同じ長井龍雪監督、脚本・岡田麿里、キャラクターデザイン田中将賀が再集結した待望の劇場用オリジナル・アニメの新作『心が叫びたがってるんだ。』が公開され、話題を呼んでいる。『あの花』がヒットした結果だろう。
そして、ここへきて、なぜかいま、ダレトクな『あの花』実写ドラマが製作され、フジテレビで放送された。時期的に『ここさけ』が公開されるこのタイミングでの放送ということはわかるが、宣伝のためだけならコストも時間も無駄にかかるというもの。そもそもなぜ製作されたのかが不思議なくらいだ。ちなみにこのドラマ化にはアニメの『あの花』の製作スタッフはほとんど参加していない。
実写ドラマ化の発表時からアニメファンによって炎上し、放送当日にはあちこちのサイトで、まもなく放送開始だと色めき立ち、実況中継も始まる始末。不安だらけというか、不安しかない『あの花』実写化、いったいどんな仕上がりに……?と興味深く視聴した。
感想はひとことで言うと、「……でしょうね」。実写化もスペシャルドラマで2時間強という尺も、無理があるとしか言いようがない、結果はわかっていたことだ。
ドラマ版はまず、子ども時代からスタート。タイトルからして“花”をモチーフにしているだけに、一面のポピーが広がるロケーションは悪くない。ただ、いかにもアニメに合わせましたという衣装とお決まりの子役演技だ。おまけに要のキャラクターである、めんまの幼少期役の谷花音は天使のような愛らしさだったが、成長期に差し掛かり微妙なビジュアル。それに、めんまは癒し系の愛されキャラだ。幼少期に事故死してしまっためんまは幽霊となってじんたんの前に現れ、バラバラになっていた幼馴染が再び集まってめんまを成仏させる。なんとかしてあげたいと思わせるキャラでないといけないが、谷花音ってこんなに意地悪そうな顔を……い、いや、癒し系に見えなかったっけ。というか、ネットニュースで見ていたがやはり黒髪かぁ……と、思っていると、役名と役者名のクレジットが入りつつ人物紹介のオープニングはさくさく進み、開始約10分で仲良しグループ“超平和バスターズ”は全員登場、速い速い。いくらなんでも走り過ぎじゃないか!?(中編・後編へ続く…)(文:小野田礼/ライター)
・【元ネタ比較】(中編)不安だらけの実写版『あの花』がついに放映。予想通りの出来映えを完全レポート
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