2015年の映画会社の勝ち組・負け組を「日本編」「ハリウッド編」の2回に分けて取り上げます。今回は日本編です。
1月〜10月までの映画会社別の総興行収入を見ると、勝ち組の筆頭は東宝の631億円。2位のウォルト・ディズニー243億円の約2.6倍と断トツの1位だ。このまま年間首位を記録するのは間違いなく、13年連続での首位となる。独り勝ちといっていい状況だ。
強さの源泉は興行網にある。シネコンのTOHOシネマズは全国64ヵ所。シネコンの数ではイオンシネマの81ヵ所に及ばないが、東京や大阪など大都市部の繁華街に映画館が多く、実質的には日本一といえる。強固な興行網を核にした配給宣伝力を目当てに、テレビ局などは強力な企画をまず東宝に持ち込む。だから東宝が配給する作品はヒットしやすいのだ。
2位はウォルト・ディズニー(243億円)。ディズニー作品は『ベイマックス』(興収92億円)を筆頭に、『シンデレラ』(57億円)、『インサイド・ヘッド』(40億円)、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(31億円)、『イントゥ・ザ・ウッズ』(24億円)が大ヒット。ディズニーはラブストーリーにアクション、そしてアニメーションとラインアップ戦略が安定していて、どの作品もヒットに結びついている。
3位は東宝東和(214億円)。配給するユニバーサル映画が好調で、『ジュラシック・ワールド』(93億円)、『ミニオンズ』(51億円)、『ワイルド・スピード/SKY MISSION』(35億円)、『テッド2』(24億円)が大ヒットしている。
一方、負け組を見てみよう。邦画系では東映(91億円)と松竹(87億円)。2社を足しても東宝の1/3以下だ。
松竹は『ラブライブ!The School Idol Movie』が28億円、東映は『ドラゴンボールZ 復活の「F」』が37億円と大ヒットしたものの、興収20億円超えはこれらアニメのみ。東映では、アニメと同じ稼ぎ頭の『仮面ライダー』が10億円を超えず、人気にかげりが見え始めている。両社とも実写映画が振るわなかった。
洋画系では20世紀フォックス(53億円)とソニー・ピクチャーズ(43億円)。興収20億円を超えた作品が1本もない(ソニーでは12月4日公開の『007 スペクター』が超えそうだが)。両社とも稼ぎ時の夏興行で上映作品がなかったことに象徴されるように、大型作品不足が“負け組”陥落の大きな要因だ。(文:相良智弘/フリーライター)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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