今年の米国アカデミー賞で作品賞にノミネートされ話題となった『第9地区』。この映画の舞台となっているのが、今年6月のワールドカップ開催国でもある南アフリカだ。この南アのことをもっと知ろうというイベントが、3月16日に南アフリカ大使館で開かれ、講師役にジェトロアジア経済研究所地域研究センター長の平野克己、教わる側代表としてタレントの優木まおみが登場した。
『第9地区』は南ア上空に巨大宇宙船が登場。その宇宙船が故障し、母星に帰れなくなったエイリアンたちが、南アの居住区に住むようになる物語。だが、彼らのグロテスクな容姿に、人類は次第にエイリアンたちをバカにし、迫害するようになる。アパルトヘイトをモチーフにした本作は、人類と宇宙人のこれまでにない関係を描いた異色のSF映画だ。
イベントでは平野センター長が、南アの素顔を語っていく。「アパルトヘイトがアメリカの人種差別とどう違うのか? それは、アパルトヘイトは法律で決められていたので、人種差別をしないと逆に法律違反になってしまう点。差別したくなくても、差別をしないと罪に問われてしまう」など、南アの知られざる一面が語られ、優木も熱心に耳を傾けていた。
また、過去の話だけでなく、「人口の80%が黒人」「成人男女の10人に4人が失業者」「5歳〜49歳の18%がHIV感染者(国連の推定で南アには570万人のHIV感染者がいる。これは世界1位)」「世界ではじめて核兵器を捨てた国(1度保有していたのに破棄したのは南アだけ)」「金、プラチナ、マンガンなどの埋蔵量が世界1位」など、現在の状況についても説明された。
その後、話は南アを舞台にした『第9地区』に。試写会で見たという優木は「今日の話を聞いて、すごく考えさせられる映画だと改めて思った。フィクションとノンフィクションが混ざりあったような作りになっているので、すごくリアリティがあるし、もともとアパルトヘイトがあったという背景を考えてみると、エイリアンを差別・迫害するところは、本当に考えさせられる」と述べていた。
さらに、この映画ではエイリアンの姿形がややグロテスクだが、「どんなエイリアンだったら共存できるか?」という質問が寄せられた。これに優木は「見た目がカワイイから共存できる、気持ち悪いから共存できないという話ではない。受け入れるのなら、そうした風貌も含めて認め、共存すべきだと思う」と熱弁。東京学芸大学卒という知的な一面も垣間見せていた。
『第9地区』は4月10日より丸の内ピカデリーほかにて全国公開となる。
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