自然とともに、豊に生きる
写真家であり映画監督の石川梵が2017年から2019年までの3年間に撮影した映像作品『くじらびと』。インドネシア・ラマレラで行われる400年続くダイナミックな鯨漁と、そこに生きる人々の生活を追った本ドキュメンタリーが2021年9月3日より公開。迫力あふれる鯨漁の一端が垣間見れる本編シーンが解禁となった。
・400年続くダイナミックな鯨漁で生きていく人々の生活を追う渾身作
自然とともに生き、命に感謝し、祈りを捧げ、実に400年もの間変わらぬ伝統の捕鯨を続けながら暮らす“くじらびと”の姿――厳しくも美しい、命のやりとりを通して、人間のみならず地球上にともに生きるものたちの眩しいほどに輝く生命力に満ちたドキュメンタリー映画。SDGsの原点がここにある。
公開された映像では、“くじらびと”を夢見る少年・エーメンの一家にフォーカスしている。村で配分された鯨肉を手に海から帰る父・ビスドニとエーメン、まだあどけない妹・イナ。エーメンの家は4人家族と犬が一匹。感謝の祈りを捧げ、食事を始める。食事の主役は“鯨”だ。ビスドニは 元々バリで妻のアガタと出会ったが、ふたりでここラマレラに戻ってきた。
「バリではそれなりに稼げるが、金に追われる生活だった。ここではお金がなくても生きられる。海で魚を獲り、塩も作れる。バナナやとうもろこしは鯨肉と交換できる」と語る。アガタは「鯨が獲れると本当にうれしい。鯨なし では生きていけないわ」と語る。 お金だけが豊かさなのではない、お金のために生きるのではないーーバリでの生活も経験しラマレラで暮らすビスドニの言葉はシンプルだが、大きな気づきをくれるだろう。
支え合い、分け合い、助け合う
インドネシア・ラマレラ村。人口1500人の小さな村。住民は互いの和を最も大切なものとし、自然の恵に感謝の祈りをささげ、言い伝えを守りながら生活をしている。中でもラマファと呼ばれ るクジラのモリ打ち漁師たちは最も尊敬される存在だ。年間10頭獲れれば村人全員が暮らしていける。ともすれば死と隣り合わせの鯨漁で、それでも彼らはモリ 1 本で巨大なマッコウクジラに挑む。子どもたちは彼らの姿を見て、自分もラマファになりたいと夢を見る。そうして400年、ラマレラの人々はここで暮らしてきた。
2018年、ラマファのひとり、ベンジャミンが漁の最中に命を落とした。家族も村民も深い悲しみに暮れる中、父で舟作りの名人・イグナシウスはバラバラになりそうな家族の結束の象徴として、 伝統の鯨舟を作り直すことを決心。1年後、彼らの新しい舟はまだ見ぬクジラを目指し大海に漕ぎ出すー。
『くじらびと』は2021年9月3日より公開。
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