娘を水俣病にした憎き会社に勤めなければならない“無情”
ジョニー・デップ製作・主演で日本四大公害の1つ水俣病を世界に知らしめた写真家ウィリアム・ユージン・スミスを描いた『MINAMATA―ミナマタ―』が、9月23日に公開される。このたび、浅野忠信が登場する本編映像が公開された。
・加瀬亮、「しわ寄せがきている人に光を当て、耳を傾けることの意義が伝わるといい」
浅野は本作品で、水俣病を患い目が見えず話せない娘を持つマツムラ夫婦の夫タツオを演じた。浅野はNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』で、震災により妻を失いながらも息子・亮と共に再起を目指す腕利きの漁師・新次役という、やはり“苦悩する父親”を演じている。
公開された本編映像は、タツオが苦悩しながらもあふれ出る娘への愛情を表現したシーン。
水俣に到着したユージン・スミスとアイリーン(美波)を家へ迎えいれたその夜、タツオと妻マサコ(岩瀬晶子)は、言い澱みながらも心情を吐露する。生まれながら水俣病を患う長女アキコに思い悩みながらも、彼女の存在が家族の絆を強めたとも話す。
そんな娘を「宝子」と呼ぶ、夫妻の我が子に対するかけがえのない愛。一方で、生活のために憎むべき公害を引き起こした企業・チッソで働き続けなければならないという複雑な父の苦悩を見事に演じきっている(https://youtu.be/fOw2HDwu1pc)。
写真家ユージン・スミスの最後のプロジェクトを描く
本作品は、熊本県水俣市のチッソ工場の廃水を原因とした日本四大公害病のひとつ水俣病を世界に知らしめた写真家ウィリアム・ユージン・スミス(William Eugene Smith)の実話に基づく映画。
ジョニーは、長年の憧れであるユージンの遺作となった写真集「MINAMATA」を基に、「映画の持つ力をフルに活用して、この歴史は語り継がなければならない」と自ら製作、主演を努めて映画化した。その他の出演は浅野、岩瀬、美波のほか、真田広之、國村隼、加瀬亮、ビル・ナイ。監督はアンドリュー・レヴィタス、音楽は坂本龍一。
本作品の舞台は、71年のニューヨーク。あるときユージンは、アイリーンと名乗る女性から、熊本県水俣市にあるチッソ工場が海に流す有害物質によって苦しむ人々を撮影してほしいと頼まれる。水銀に侵され歩くことも話すこともできない子どもたち、激化する抗議運動、それを力で押さえつける工場側──そんな光景に驚きながらもシャッターを切り続けるユージンは、チッソの社長からのネガを大金で買うという申し出を拒否したために危険な反撃にあう。追い詰められたユージンは、水俣病と共に生きる人々にある提案をし、彼自身の人生と世界を変える写真を撮る……。
ユージンは、アイリーンと水俣市に暮らしながら3年間にわたり水俣病の問題を取材し、75年にアイリーンと連名で写真集「MINMATA」をアメリカで出版すると、世界中で大反響を巻き起こす。翌年、ロバート・キャパ賞を受賞した。
この原案となった写真集「MINAMATA」は長らく絶版となっていたが、9月7日に約40年ぶりに再出版された。
『MINAMATA―ミナマタ―』は、9月23日に公開される。
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