平凡なセールスマンから運び屋へ…カンバーバッチが語るスパイの素質とは?

#クーリエ:最高機密の運び屋#ベネディクト・カンバーバッチ#キューバ危機#スパイ映画

ベネディクト・カンバーバッチ
(C)2020 IRONBARK, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

「役者にとってスパイの役は興味深いごちそうだよ」

1962年「キューバ危機」の裏でスパイとして暗躍した、一人のイギリス人セールスマンの実話を描く映画『クーリエ:最高機密の運び屋』が9月23日より全国公開中。ムビコレでは主演のベネディクト・カンバーバッチのインタビューを掲載中だ。

『クーリエ:最高機密の運び屋』ベネディクト・カンバーバッチ インタビュー

カンバーバッチ演じる主人公のグレヴィル・ウィンは、イギリスに妻子と暮らすごく普通のセールスマン。東欧に出張の多い彼はある日、商務庁の職員を名乗る男女2人からランチに招かれ、モスクワに飛びオレグ・ペンコフスキーという男と接触してほしいと依頼される。彼らの目的はペンコフスキーがソ連から密かに持ち出した軍事機密を西側へ届ける“運び屋”としてグレヴィルをスカウトすることだった。 

「キューバ危機という事件があったのは知っていた」と語るカンバーバッチ。この実話は知らなかったそうだが、「グレヴィルという役に強く惹かれた。数奇な運命をたどり変化していく――ただの平凡な男を演じることにね」と教えてくれた。さらに、「自分たちの家族、そして世界を守るため――信条・宗教・政治・国民性の違いを超えて2人は団結した。人間性の部分で通じるところがあり、個人的な友情も芽生えていく。トムの脚本はそれらを完璧にとらえていてとても感銘を受けた」と続けた。

カンバーバッチはグレヴィルの自伝や文献を読み、唯一残っているニュース映像も見て役作りに取り組んだ。「彼は類まれな旅に出た。ほとんど字が読めない失読症を抱えたごく普通のビジネスマンから、冷戦時代とキューバミサイル危機の時期に、最も重要な機密情報を西側諸国が入手するためのパイプ役になったんだ。それに、役者にとってスパイの役は興味深いごちそうだよ。本性を隠して他人になりすます場面が必ずあって、しかもその転換が素早く突然だからね」。

グレヴィルはスパイとして訓練を受けたこともない平凡なセールスマンだったが、カンバーバッチは彼がスパイとしての素質を持っていたと分析する。グレヴィルの初登場シーンから、その素質は現れている。「彼は満面の笑みで簡単な(ゴルフの)パットをわざと外すんだ。そうして相手を気分良くさせてから商品の売り込みを始める。スパイ技術こそなかったが、スパイに必要な高い“心の知能指数”をすでに持っていた。彼がその能力を開花させていく過程を、作中では注意深く描いている。グレヴィルは素人からスパイになり最後にはペンコフスキーを助けるため勇敢な行動に出る。ドミニク(・クック監督)と常に相談しながら徐々に変化していくその時々のグレヴィルを演じた」。ベネディクト・カンバーバッチのインタビュー全文はこちらから。