ニューヨークの五番街に住みながら、ゴミを出さず電気や車を使わないエコロジーな生活に挑戦する家族の姿を追ったドキュメンタリー『地球にやさしい生活』。2009年サンダンス映画祭で上映され話題になり、ニューヨークタイムズなどのメディアでも注目を浴びた。便利でぜいたくな生活から一転、想像以上の不自由な生活を送るなかで、ぶつかり合いながらも協力し、生活に順応していく家族の強さを映し出している。
本作のプロデューサーであり、究極のエコ生活を実践したコリン・ビーヴァンが、自身の体験で感じた心境やその後の生活の変化について語ってくれた。
──「地球にやさしい計画(ノー・インパクト・プロジェクト)」を思いついて、最初に行った取り組みは何でしたか?
ビーヴァン:1番に思いついたのはゴミの問題。朝起きて顔を洗い、鼻をかもうとしてティッシュに手を伸ばす。(幼い娘の)イザベラの紙おむつの交換をして、ミルクを作り、空いたミルクパックのゴミを捨てる……と起きてから10分程でたくさんのゴミを作ってしまった。
そのとき、ティッシュはハンカチで代用できるのでは? 紙おむつは布おむつで代用できるのでは? ミルクはビン入りを買えばゴミにならないのでは? そう思ったんだ。そして、試行錯誤しながら課題を見つけ、実践していったんだよ。
──チャレンジが終わってからも続けていることは何ですか?
ビーヴァン:環境にとって良いことは人々にとっても良いことだと思うんだ。テレビなしの生活で自然に家族との時間が増えた。近隣の農家の人とコミュニケーションをとりながら、安全で信用できる野菜を今でも買っているし、ベジタリアンは続けてるよ。
引越しをしたから(ゴミを土に戻すための)“ミミズ”コンポストは使っていないけど、すごくクールだと思うからまた始めたいね。それに、クーラーボックスは今も使ってるよ。服を手で2時間かけて洗うのはニューヨークでのライフスタイルには合わないから、洗濯機は使っているけどね。
──これからの活動について教えてください。
ビーヴァン:「ノー・インパクト・マン」としてやってきたチャレンジはまだまだ終わりではないんだ。その活動をするために、地域コミュニティのなかでできることが、もっとあるのではと考えているよ。
もっと大きい問題で言うと、発展途上国の問題も含めたアウトソーシング(外部への委託)だろうね。アウトソーシングの道徳的な問題で我々は、NGOや政府に丸投げにしている傾向がある。自分たちの生活がどのように支えられているのかを知ろうと努力することは大事なことなんだ。
──今年、日本では震災や原発事故などがありましたが……。
ビーヴァン:日本での震災のニュースは非常にショックで、私自身も悲しみを感じています。本や映画では、電気なしの生活をするために物事を選択していくことが大切と言ってきたが、このような大きな出来事が起きてしまうと問題はまた違ってきてしまう。
そのなかでも原発に関して言えることは、「これほどのリスクのある原発は、本当に必要なエネルギーなのか?」ということだと思う。必要だと言われているものに、どれだけのリスクがあるかを考えなくてはならないと思うよ。
──大都会での便利な生活が続いていくことについてどのように考えていますか?
ビーヴァン:実はニューヨークは人口密度が高いということもあり、消費されるエネルギーは意外と低いんだ。都市開発するにあたり、人が集まりやすい施設を中心に持ってくる考えや、街全体をどのように生活しやすくするかという考え方が重要になってくると思う。日本だけの問題ではなく、世界中が考えていかなければならないことだと思うよ。
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