マイノリティが直面する感情…「巨大企業の内部告発に挑む一般人」と同じ悲しみ
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初めての内部告発モノにワクワク
トッド・ヘインズ監督、マーク・ラファロ、アン・ハサウェイら実力派キャストの揃う、実話に基づく物語『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』が、12月17日に公開される。このたび、ヘインズ監督のコメントと、場面写真、メイキング写真が公開された。
・「その水を飲むのは、タイヤを食べるのと同じ」…デュポン社によるテフロン汚染を暴いた弁護士の物語『ダーク・ウォーターズ』
『ベルベット・ゴールドマイン』『エデンより彼方に』『キャロル』など見る者の心を大いに揺れ動かしてきたトッド・ヘインズ監督。自身も同性愛者である彼は、社会的マイノリティの人々を美しくも悲劇的に映し出してきた。
そんな彼が、巨大企業の陰謀を暴き出す弁護士に焦点を当てた本作品を手掛けたことを少し意外に感じるかもしれない。しかし、ヘインズは昔から内部告発映画のひそかなファンだったのだ。
プロデューサーも兼任するマーク・ラファロから本作品の映画化を持ちかけられた時のことを、次のように語っている。
「マークは知る由もなかっただろうが、私はこのジャンル、つまり内部告発もののひそかなファンだった。アラン・パクラ(とゴードン・ウィリス)による1970年代の『コールガール』『パララックス・ビュー』『大統領の陰謀』のパラノイア三部作や、その後のマイク・ニコルズ監督『シルクウッド』、マイケル・マン監督『イン サイダー』に心底敬服しているのは、私だけではないだろう。ただ、権力が犯した過ちを明らかにすること以外にも、私の心をとらえる何かがこれらの作品にはあった。もちろんこれらの作品では、企業や業界によるもので あろうと、政府によるものであろうと、権力の乱用や脅迫や隠ぺいが明かされる。実際、それが物語に期待されるものであり、そうした期待が、物語に先立って実社会で高まることもよくあることだ。しかし、内部告発映画の真に焦点をあてるのは平凡な人間であり、彼または彼女のたどる過程であり、真実に立ち上がることでその人物が直面する、致死的とまではいかないにしても、精神・感情面の危機である」
さらにヘインズは、瞬時に本作品の主人公のモデルとなったロブ・ビロットのストーリーに惹かれ、新しいジャンルを探求できることにワクワクしたという。
「本作品は、僕がよく携わる映画とは少し違うけれど、僕が昔から好きな内部告発ものというジャンルと同じタイプの作品だった」
内部告発に立ち上がる人物の苦悩を映し出す
このたび公開された場面写真には、巨大企業デュポン社の陰謀に立ち向かう弁護士・ロブ(マーク・ラファロ)と、彼を取り巻く周囲の人々が切り取られている。
山積みになった内部資料に隈なく目を通すロブ、次第に疲弊していく夫を優しく抱きしめる妻のサラ(アン・ハサウェイ)の姿からは、巨大企業との闘いに挑んだ苦難の道のりがうかがえる。
そのほか、ロブが沈痛の面持ちで上司のタープ(ティム・ロビンス)に相談を持ち掛けている様子も。
一方、メイキング写真には、マーク・ラファロに演出するトッド・ヘインズ監督の姿が捉えられている。
これらコメントや場面写真の数々からは、製作と主演を兼任し環境活動家でもあるラファロと、内部告発映画のファンだというヘインズがこのテーマを選んだ背景がうかがえる。
企業弁護士としての立場を省みず、巨大企業に戦いを挑む!
本作品は、環境活動家でもある実力派俳優マーク・ラファロが自ら製作・主演を務め、米ウェストバージニア州のコミュニティを蝕む環境汚染問題をめぐる実話を映画化したもの。
1998年、オハイオ州の名門法律事務所で働く企業弁護士ロブ・ビロットは、ウェストバージニア州パーカーズバーグで農場を営むウィルバー・テナントから調査依頼を受ける。それによれば、大手化学メーカー、デュポン社の工場からの廃棄物によって彼の土地が汚され、190頭もの牛が病死したというのだ。
さしたる確信もなく、廃棄物に関する資料開示を裁判所に求めたロブは、“PFOA”という謎めいたワードを調べたことをきっかけに、事態の深刻さに気づき始める。デュポン社は発ガン性有害物質を、危険性について認識しながら40年もの間隠蔽、大気中や土壌に垂れ流してきたのだ。
やがてロブは7万人の住民を原告団とする一大集団訴訟に踏みきる。しかし、強大な権力と資金力を誇る巨大企業との法廷闘争は、真実を追い求めるロブを窮地に陥れていくのだった……。
『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』は、12月17日より全国公開される。
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