『ばるぼら』 ©2019『ばるぼら』製作委員会
『星くず兄弟の新たな伝説』 ©キネマ旬報DD
『星くず兄弟の伝説』 ©2016 星くず兄弟プロジェクト

『ばるぼら』手塚眞監督、連日トークショー

著名な映画監督の“原点と現在”を探る代官山シアターギルドのシリーズ企画が、第2弾で手塚眞監督を取り上げる。1月22日から27日まで、手塚監督の長編デビュー作『星くず兄弟の伝説』と最新作『ばるぼら』、さらにそのデビュー作から30年後に作られた『星くず兄弟の新たな伝説』が特集上映される。

・稲垣吾郎の自在な魅力が作り出す、手塚治虫原作『ばるぼら』の世界

初日と22日は、『星くず兄弟の伝説』上映後に高木完、手塚監督によるトーク。同じく22日『星くず兄弟の新たな伝説』上映後は、ISSAY、手塚監督がトーク。また23日は、開場時間を16時と早め、シアターギルド館内に配置された世界の名だたる建築家、デザイナーの椅子を楽しみながら、上映時間までシアターギルド特別バーテンダーによるカクテル「ばるぼら」が楽しめる。また、22日〜27日の会期中は、上映後に連日、手塚監督がトークショーに登壇する(※22日は手塚監督、諸事情により欠席とのアナウンスあり)。

『星くず兄弟の伝説』 ©2016 星くず兄弟プロジェクト

『星くず兄弟の伝説』 (C)2016 星くず兄弟プロジェクト

特集上映にあたり手塚眞監督がコメント(原文)

映画作家の「過去」(デビュー作)と「現在」(最新作)を見せるという特集。
いや、すでに上映された映画はすべて「過去」に違いない。作家の「いま」は、これから作る映画だから。だけれども過去の作品はときとして「いま」以上に本人に語りかけてくる。「君の映画はここにあるよ」と。きっとぼくの映画たちは、本人以上に自分のことがわかっているのだろう。

デビューの頃、ぼくはまだ24歳で、若くて愚かだった。愚かだったから、『星くず兄弟の伝説』を作ることができた。今となってはそれが誇りだ。歳を経て、もう一度愚かな若造に戻りたいと思った。その気持ちを具現化したのが『星くず兄弟の新たな伝説』だ。しかし愚かさを演ずるのはなかなか難しい。演じない自分の気持ちに自然に従ったら、『ばるぼら』が出来た。若くもなければ愚かでもない が、いまはそれが心地よい。

ぼくの映画はわかりにくいという観客がいらっしゃるが、自分ではごくシンプルだと思っている。『星くず兄弟の伝説』は「ポップ」というものを映画で表現したかった。続編『星くず兄弟の新たな伝説』では「ライブ」というキーワードで演出した。『ばるぼら』は「愛と狂気」。それ以上のなにものでもない。

『星くず兄弟の伝説』と『ばるぼら』。
一見真逆のような作品ですが、実はふかい関係にあります。無かったことにしていた不幸なデビュー作から30年経ち、心機一転『ばるぼら』を作ろうとしていたのですがなかなか実現せず、そこへ降って沸いたように続編『星くず兄弟の新たな伝説』を作るハナシになって、『ばるぼら』はお預け。そのとき再上映された『星くず』旧作にハマったプロデューサーのアダム・トレルさんが各国の映画祭に売り込んで、世界のカルト・ムービーにしてしまった。その勢いで『ばるぼら』のプロデューサーも買って出てくれたのは、撮影監督クリストファー・ドイルさんと仕事をしたことがあったから。つまり『星くず』 がなかったら『ばるぼら』もなかったかもしれないという不思議な縁なのです。

『星くず兄弟の伝説』

ドジで短気だがお人好しのシンゴ(久保田しんご)と、キザだが優しい二枚目半のカン(高木完)は、ライバル同士。2人に目をつけスカウトしたのが、音楽界を牛耳る黒幕アトミック南(尾崎紀世彦)だった。アトミック・プロを訪ねた2人は、歌手志望の少女マリモ(戸川京子)と出会う。南はシンゴとカンを、2人組のミュージンャン“スターダスト・ブラザーズ”としてデビューさせる。マリモは彼らのファンクラブの会長となった。南の戦略でマスコミは“スターダスト・ブラザーズ”を、あっという間に当世の人気スターに仕立てあげるのだが……。

サンプラザ中野、タモリ、島田伸介、前田日明、石上三登志、景山民夫、高田文夫、中島らも、戸川純、川崎徹、森本レオ、永島慎二、モンキー・パンチ、高橋葉介、黒沢清らがカメオ出演して話題となった。

『星くず兄弟の新たな伝説』

かつて“スターダスト・ブラザーズ”として一斉を風靡したカンとシンゴ。東京の下町にあるバーのオヤジとなったシンゴは過去の栄光を夢見、「地球がダメなら月でもう一度スターに!!」との思いで、売れっ子DJとして活躍するカンを誘ってリ・エイジングスタジオで若返り、月へと旅立つ。月世界で彼らを迎えたのは、どうしようもなくダメな芸能プロダクション「アストロ・プロモーション」だった。新・星くず兄弟の初ステージは場末のショーパブで、すっかり意気消沈した2人に酔っぱらいの老人が「スターになりたかったら〈ロックの魂〉を探せ」と声をかけるのだが……。

『星くず兄弟の新たな伝説』 ©キネマ旬報DD

『星くず兄弟の新たな伝説』 (C)キネマ旬報DD

リリー・フランキー、綾小路翔、高田文雄、庵野秀明、犬童一心、黒沢清、林海象、浦沢直樹、石井岳龍、サンプラザ中野くんらがカメオ出演している。

『ばるぼら』

手塚治虫が70年代に発表した大人向けマンガ「ばるぼら」は、禁断の愛とミステリー、芸術とエロス、スキャンダル、オカルティズムなど様々なタブーに挑戦した問題作。その映像化不可能ともいわれた題材を、稲垣吾郎二階堂ふみで手塚治虫生誕90周年を記念して初めて映像化された。昨年21年に完全受注生産で発売されたBlu-rayは完売しプレミア商品となっている。

『ばるぼら』 ©2019『ばるぼら』製作委員会

『ばるぼら』 (C)2019『ばるぼら』製作委員会

手塚眞監督特集上映は、1月22日〜1月27日に代官山シアターギルドで開催される(https://theaterguild.co/movie/)。

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