妻をひき逃げ事件で失った喪失感から立ち直れず、やがて出所してきた犯人への復讐計画に没入していく中村(堺雅人)と、中村からの脅迫状に苛立ちを隠せない、ひき逃げ犯の木島(山田孝之)との関わりを描いた『その夜の侍』。この映画が11月17日に公開となり、有楽町スバル座で行われた初日舞台挨拶に、堺と山田、新井浩文、綾野剛、谷村美月、赤堀雅秋監督が登壇した。
同作は、赤堀監督が作・演出をつとめる劇団「THE SHAMPOO HAT」で公演された舞台劇が原作。監督同様、かつて小劇場で活躍していた堺は「僕自身、15年ほど前に劇団をやっておりまして、下北沢で始まったこの小さな物語が、フィルムに焼き付いてみなさんに届くというのが、15年前の自分の夢が叶ったようで誇らしいです」と挨拶。
一方、この映画が新人監督賞にあたる「新藤兼人賞」金賞に輝いたことを祝福された赤堀監督は「本当にできすぎというか」と照れ笑い。「なんか、すみませんって感じですね。もらえるものはもらいますけど。本当に嬉しいです」と喜びを表現した。
また、本作と、それを演出した赤堀監督の魅力を聞かれた堺は「別の作品になりますが、下北沢のスズナリという劇場で赤堀さんの作品を見させていただき、そのときに初めてお会いしたんです。(作品の)1つひとつの要素はキレイ・汚いで言ったら汚いし、立派かと言えば立派じゃなく、のたうちまわるような人々の姿を描いているんですけど、見終わった後にすごく崇高で美しいものを見た気になるという不思議な体験をしました」と振り返った。
同じ質問に山田は、少々考え込んでから「こういうことが起きて、この人がここにいて、この人がこの人にこういうことを言ったから、これがこうなって……」とジェスチャー混じりに説明。「わかりますよね?」と客席に呼びかけると、観客も思わず大笑い。隣の酒井からはすかさず「記者さん泣かせだな」と記事にしにくい説明を突っ込まれていた。
また「先日、『モテキ』の大根仁監督と飲んだ」という新井は「そのときに、(この作品が)新藤兼人賞を獲ったんですよと報告したんです。大根さんは赤堀さんから見たら大先輩にあたるのですが、その話をしたら、ものすごい不機嫌そうでした」と明かし会場を沸かせると「なんて小さい男なんだって思いました(笑)」と、さらなる笑いを誘っていた。
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