かつて本当に開催されていたタイプライターの早打ち大会をモチーフにしたサクセスストーリー『タイピスト!』が、6月24日にフランス映画祭2013で上映され、キャストのデボラ・フランソワとレジス・ロワンサル監督が舞台挨拶に登壇。質疑応答も行った。
本作は、1950年代末のパリを舞台に、垢抜けない田舎娘がタイプの早打ちで世界に挑む姿をポップでキュートな映像で描いた作品で、恋に仕事に奮闘するヒロインをデボラが好演。「現代のオードリー・ヘプバーン」と絶賛された作品だ。
“指先の格闘技”と言えるほどに壮絶な早打ち大会のシーンが印象的だが、ロワンサル監督が、「ある日テレビでタイプ早打コンテストのドキュメンタリー番組を見て驚き、この映画を思いついた。『ロッキー』みたいなスポ根映画にできないかと考えたんだ」と映画作りのきっかけを明かすと、「私は“女ロッキー”ってこと?」と突っ込むデボラ。「メンタリティはロッキーだよ」という監督の言葉に観客は大笑いしていた。
一方、デボラは最初に脚本を読んだときの感想を聞かれ、「本当にこの役を演じたいと思った」と回答。「ライバル女優は殺すくらいの意気込みだったわ」と明かし、会場を沸かせていた。
劇中には様々なタイプライターが出てくるが、小道具集めは大変だったそうで、監督は「世界各国からタイプライターを200台くらい集めたんだ! あの頃のタイプライターを、しかも同じものを2台揃えるのは至難の業だった。それに、見つけてもどれもとても古いので、新しいものに見える様に手直しが必要だった」と苦労を振り返った。
また、タイプのトレーニングについて聞かれたデボラは「スタントは一切ないんです」と早打ちをすべて自分で行ったと述べ、「6ヵ月間トレーニングをしました。週3回コーチがつき、宿題もあり1日2〜3時間の自己練習も毎日行いました」とハードトレーニングを述懐。「監督の要求も高く、優しくなかったので」と笑いながら言い添えていた。
最後のメッセージでは「日本にくるチャンスはあったけど、関東大震災の影響でなかなか来日は難しかった」と語ったデボラ。涙ぐみながら日本への思いを語り、会場を後にした。
『タイピスト!』は8月17日よりヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国順次公開される。
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