旧日本軍の隠し資産「M資金」を題材に、『亡国のイージス』の福井晴敏と阪本順治監督が再びタッグを組んだ『人類資金』。この映画の完成報告会見が8月27日にシャングリ・ラ ホテル 東京で行われ、佐藤浩市、森山未來、仲代達矢、阪本順治監督、福井晴敏が登壇した。
原作者で、監督と共に脚本も担当した福井は「よく今日という日が迎えられたなと思うくらい、今回は成立させるのが大変でした」と苦労話を吐露。現在高視聴率をキープしているドラマ『半沢直樹』に触れ、「(同じように)経済を題材にしている作品なので、『半沢直樹』があと1年早く流行っていれば、もうちょっと企画も進めやすかったと思う」とコメントした。
実は福井は『半沢直樹』の原作者・池井戸潤と江戸川乱歩賞を同時受賞している間柄だそうで、「今ちょうど『半沢直樹』で経済ものに追い風が吹いているので、この映画も大ヒットさせて、倍返しできればと思っています(笑)」と語った。
M資金の謎を追ううちに、事件に巻き込まれていく主人公の真舟雄一を演じた佐藤は「M資金を題材にして、こういう作品を作れるとは思っていませんでした。骨太のエンターテインメントになってると思いますので、みなさんよろしくお願いいたします」と挨拶。謎の人物Mの腹心であり、真舟と行動を共にする石優樹役の森山は「本当に壮大なストーリーが展開されますが、お客さんの心に響くのか、それとも夢物語にされてしまうのか興味があり、楽しみです」と話した。
M資金を管理運用する日本の財団の理事長、投資顧問会社代表の笹倉暢彦を演じた仲代は「随分長い間、役者をやっているんですが、企業のトップ役はほとんど初めての出会いでした。劇中での私の役柄は、父親の後を引き継いで“M資金”を“人類資金”に変えようという基本的な考えを持っている人物。父親、私、息子と3代に渡ってM資金に纏わりついたのか、つかれたのかという、私にとっては非常に難しい役柄でした」と振り返った。
また、阪本監督は「この映画を着想したのは33年前、高野孟さんの『M資金 知られざる地下金融の世界』という本を手にとって、当時僕は美術助手だったんですが、いつか監督になった折りには、こういう題材にチャンレンジしたいと思い続けて、今日を迎えました。で、2006年に原作を福井さんにお願いして、それからしばらく“人類”はあったけど“資金”がなくて7年かかりました(笑)。でも、今このタイミングでこの映画を発表できるというのは、逆に良かったと思ってます」と話すと、「『半沢直樹』は関係なく、このタイミングが良かった」と付け加えた。
『人類資金』は10月19日より全国公開となる。
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