死刑囚の告発をもとに、雑誌ジャーナリストが未解決の殺人事件を暴き、真犯人逮捕への道筋をつけた異例の事件を追ったベストセラー・ノンフィクションを映画化した『凶悪』。この作品の完成披露舞台挨拶が9月4日に新宿ピカデリーで行われ、山田孝之、ピエール瀧、リリー・フランキー、池脇千鶴、白石和彌監督が登壇した。
未解決事件の真相を追う、主人公の雑誌ジャーナリスト・藤井を演じた山田は、この映画を見るにあたっての注意事項として、「この後、パーティーやお食事会が入っている人は、(そちらを)楽しめなくなる人も多いと思う」とのっけからネガティブ発言。「僕はこの映画の宣伝活動をする上で、そういう方は見ないでくださいと再三言ってきたので、その場がつまらなくなったり、友人関係がダメになったりしても責任は取れません」と挨拶。
事件を告発する死刑囚の須藤を演じたピエール瀧は、出演している朝ドラ『あまちゃん』に触れ「最近は朝から寿司屋の格好でみなさんを困らせていますが、今回は死刑囚、そしてヤクザという役でして、みなさんのお口にあいますでしょうか(笑)」とコメント。続けて「見る前に言うのもなんですけど、ハッピーなところが1つもない映画ですので、みなさん、何かに掴まりながらご覧になってください」と映画のテイストをアピールした。
事件の首謀者である先生こと木村を演じたリリーは、以前、新宿ピカデリーでウディ・アレン監督作『それでも恋するバルセロナ』を見た際に、タクシーで帰宅途中に財布を落としたことに気づいたそう。「急いで映画館に引き返したら、ウディ・アレンの映画を見に来ているような善良なお客様は財布をカウンターに届けてくれていた」と感心した様子で振り返ると、「でも今日、こういう映画をご覧の場合には、たぶん、財布は戻ってこないと思います」と観客を挑発! 笑いを誘っていた。
また、藤井を支える妻の洋子を演じた池脇は「上映前なのであまり言えませんが、本当にちょっと怖いので、ゆっくり楽しんでいってください」と話し、白石監督も「散々、怖いとか凶悪とか言われています。確かに見た後、ハッピーにはならないかもしれないけど、それも含めて面白かったよねって言える映画を作ろうと思って、歯を食いしばって必死に作りました」と映画に込めた思いを語った。
最後に山田は「もちろん題材がこういうものなので、バカみたいに大ヒットする映画にはならないと思うんですけど、でも、見てもらいたいですね」と本音を吐露すると、「もう見なさいって感じ。見ろ!と。見ろ!コノヤローと。バカ野郎!と」と見てもらいたい思いが徐々にエスカレート。隣にいたリリーからは、「たぶん今のところが記事になると思うよ」と言われていた。
『凶悪』は9月21日より新宿ピカデリーほかにて全国公開となる。
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