穏やかな人――イーストウッド息子が、旭日章受章の父の素顔を語った
4月29日に2009年春の叙勲受章者が発表され、『硫黄島からの手紙』(06)を監督したクリント・イーストウッド(78歳)が旭日中綬章を受章した。現在、南アフリカで次回作を撮影中のため来日できなかったイーストウッド監督だが、「次作の撮影中につき、直接日本でお礼を言うことができないのが残念ですが、名誉ある旭日章を授かったことを心から嬉しく思います。この章によってもたらされる日本での栄誉に、深く感謝します」というメッセージを発表した。
また、『硫黄島からの手紙』の出演者からも監督への祝辞が寄せられた。主演を務めた渡辺謙は、「数十年に渡る作品に対する誠実な現場作りには頭が下がります。しかも未だ衰えぬ制作意欲。日本でも、国が認めてくれたことを嬉しく思います」とコメント。二宮和也は「元気にしてるかな?っと思っていた時のこの朗報。おめでとうございます。いつまでも元気だなぁ。嬉しいっす」、加瀬亮は「おめでとうございます。イーストウッド監督は、いつまでも、あこがれです」と今回の受章を讃えた。
現在、日本では、彼の主演・監督作『グラン・トリノ』が公開中。全米ではイーストウッド作品史上最高の興行収入を記録した傑作で、日本でも中高年層を中心に動員を伸ばしている。
この作品で音楽を担当しているのが彼の息子であるカイル・イーストウッド。ベーシストとして人気を博しているが、自身のアルバムと日本公演のプロモーションで来日中の彼が、父親に代わって旭日章を受章。29日に記者会見を行った。
優しい笑顔と落ち着いた物腰が印象的なカイル。「父が名誉ある旭日章をいただき、大変嬉しく思っています」と喜びを語った。偉大な父親については「熱い思いを持っている人」だと話していた。
長年、俳優として活躍してきたクリント・イーストウッドだが、『グラン・トリノ』を最後に俳優人生を終えるとも噂されている。そのことについて聞いたところ、「(俳優を引退するかどうかは)私にもはっきり分からないのですが、今後も強く心を動かされる役があれば出演するのではないでしょうか。今は監督業のほうに興味があるようです」と語った。
『グラン・トリノ』では偏屈で頑固な老人を演じているが、父親の素顔については、「もちろん、スクリーンで見るイーストウッドとは違います(笑)。共通する部分もあるけれど、普段は控えめ。『グラン・トリノ』のようではなく、穏やかな人です」と教えてくれた。ちなみに、クリントも音楽への造詣が深いが、「両親共に音楽好き。子どもの頃からジャズを見に行ったりしていて、全員、何かしら音楽に親しんでいる」とのこと。プロの目で見た父親の音楽の才能については、「良い音楽の耳を持っているのでは? ピアノも、独学であそこまで弾けるようになったし、音楽の才能があると思う」と誉めていた。
父親の作品を3本推薦するとしたら?という質問には、「まずは『グラン・トリノ』。今までとは少し違うメッセージ性があるから。次は『アウトロー』(76)。音楽もいいしストーリーも面白い。それから『ダーティハリー』(71)。文句なく楽しい作品です」と話していた。
カイル・イーストウッドのニューアルバム「メトロポリタン」は現在好評発売中。また、6月8日から12日には、BLUE NOTE TOKYOでライブ公演が行われるという。
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