赤ちゃんの遺体を撮影する“初仕事”…死×若さ×愛の格闘
#TAMA NEW WAVEコンペティション#この世界の(さらにいくつもの)片隅に#初仕事#小山駿助#東京国際映画祭#澤田栄一#片渕須直
東京国際映画祭で話題! 無名監督の『初仕事』がロードショー
無名の新人監督の作品でありながら、第33回東京国際映画祭にてプレミア上映され、第21回TAMA NEW WAVEコンペティショングランプリ&ベスト男優賞に輝いた、主演と監督を務める小山駿助の映画『初仕事』が、7月2日より新宿Kʻs cinemaでロードショー公開される。このたび、ポスター、予告編、スチールが公開された。
公開されたポスターは、亡くなった赤ん坊が居る揺りかごに向かってカメラを構える主人公の1人、写真館アシスタント・山下(澤田栄一)の後ろ姿を中心にあしらっている。意味がわかると、ただならぬ緊張感が彼の背中から感じられ、テーマへの真摯さが伝わる。
予告編では、写真を撮ることに揺れ動く山下と、もうひとりの主人公、赤ん坊の父親で依頼主の安斎(小山駿助)の会話を映し出す。
「相手の気持ちがわかってしまった──自分の気持ちがうつってしまった」
始め若い山下に戸惑うも、正直で実直な姿に心を許し、撮影が始まり、美化すべきでないという倫理観は、目の前の状況に吹き飛ばされる。一方、安斎も次第に自身を突き動かしていたのが未練だったのではと気づき、山下を止めようとするが……。
『この世界の片隅に』の片渕須直も舌を巻く「生成り色でこれほどの緊張感」
監督と主演の1人を務める小山駿助は、赤ん坊の遺体の撮影というテーマを「大手の商業映画では扱われない危うい題材」として、「作れただけで満足」と言いながらも、次のように本作品をアピールした。
「それでもこの世の中に確かに存在する、死と若さと愛の格闘が、“喪失”が消費されている現代において果たして皆様の目にどのように映るのか。個人的な恐怖から端を発したこのお話が、少しでも普遍の趣を獲得しているとしたら、これ以上嬉しいことはありません」
もうひとりの主人公、遺体を撮るカメラマンを演じた澤田栄一は、映画館での上映が決まり喜びを表現。次のように我々に問いかけた。
「私の演じた主人公は、不惑にも而立にも満たない、迷いの中にいる20代の若者です。遺体の撮影という、一見特異な題材を取り扱っている本作品ですが、実は、大切な人との死別や初仕事の苦渋というのは、誰しもが経験している普遍的なことではないでしょうか。小山監督の『初仕事』、是非、劇場でご覧下さい!」
また、本作品が“初仕事”となった小山監督に、著名人からエールが送られた。
前東京国際映画祭ディレクター・矢田部吉彦は、「小山駿助という驚くべき個性を発見してもらいたい。ゆらりとした歩き姿と呪文のようなつぶやきを持つ俳優として、シンプルな設定を最大限に展開させるストーリーテラーとして、そして鋭利な美学を備えた映画作家として、小山監督が未来の日本映画界に鮮烈なインパクトをもたらすことを確信している」と期待を込めた。
また、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の片渕須直は、「冒頭から続く白く、生成りの色に作られた画面。その中に生きる主人公もまだ染まらない、生地のままでいて、今からなにかの色を選ぼうとしている。生成り色で語られる物語が、こんなにも緊張感をはらんでゆこうとは」と舌を巻く。
「最愛の人の死とどう向き合うか」テーマに8年かけて完成
写真館のアシスタントである山下は、赤ん坊の遺体の撮影を人づてに依頼され、良い経験になるかもしれ ないと依頼を受ける。赤ん坊の父親であり依頼主でもある安斎は、始め若い山下に戸惑うも、正直で実直な山下に心を許し、撮影が始まった……。
写真機が発明された時代、遺体を写すという行為が世界各地で発生したという。監督・主演を務めた小山駿助が、この歴史的事実に触れたことから企画がスタート。8年の歳月をかけて完成された本作品は、「最愛の人の死とどう向き合うか」という問題に端を発し、やがては現代を生きる若者が世界と格闘する姿を、繊細かつ力強くスクリーンに映し出す。
『初仕事』は、7月2日より新宿Kʻs cinemaほか全国順次公開。
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