是枝裕和監督の最新作をカンヌはどう評価? 12分の喝采受ける一方、「失敗作」と断言するメディアも
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パルムドールの行方は28日に判明
第75回カンヌ国際映画祭で26日(現地時間)、是枝裕和監督の『ベイビー・ブローカー』がコンペティション部門で公式上映され、上映後に約12分間のスタンディング・オベーションが起きた。これは前日に上映されたバズ・ラーマン監督の『エルヴィス』に寄せられたものと並んで、今年の同映画祭で最長のものだ。
・是枝裕和監督、カンヌ映画祭2度目のパルムドール受賞に期待高まる
同作は是枝監督が韓国で撮った韓国映画で、監督は主演のソン・ガンホやカン・ドンウォン、イ・ジウン、イ・ジュヨンらキャストとともに喝采に応えた。
赤ちゃんポストを題材に、預けられた赤ん坊を連れ去って養子を望む家庭に高く売りつける男たちが主人公の群像劇について、欧米の批評は2つに分かれている。
米で広まる中絶禁止の動向と関連づけるメディアも
アメリカの業界誌「Variety」「The Hollywood Reporter」(THR)の両誌は好意的な評価だ。「Variety」は「是枝は明らかに母親たちに関心を寄せている。子どもを引き渡す母親にも、養子を切望する母親にも。映画が進むにつれて、最も重要なのは子どもたちの経験であることがわかってくる」と論じ、さらにアメリカで妊娠中絶を法律で禁じる動きが広まりつつある現状にも言及している。
「THR」誌は「是枝裕和のように家族についての映画を撮る者は誰もいない」「ゆっくりと始まり、徐々に引き込まれていく群像劇」と評した。
アメリカの映画サイト「Deadline」は「人間の弱さ、感情の柔軟性、気性の幅広さ、そして社会的な役割に長い間縛られてきた人々の希望や願望と密接に関わり合っている」「演技は一様に活気があり、キャラクターも十分に生きている」と好評価だ。
一方、イギリスの「ザ・ガーディアン」紙は2つ星と辛口だ。「是枝は韓国の赤ん坊の養子縁組をめぐる物語でトーンを間違えている」「『万引き家族』の監督は、赤ん坊誘拐犯2人を愛すべき悪党に仕立て上げようとする甘さを見せている。『パラサイト 半地下の家族』のソン・ガンホであっても、それを実現することはできない」「是枝には珍しい失敗作」と手厳しい。
開催地のフランスでは概ね好評で、カルチャー・サイト「A voir A lire」は「是枝は非日常的な旅を通して家族の絆を描くというテーマに忠実。繊細な宝石のような作品だ」と、映画サイト「MovieRama」は「『万引き家族』よりもさらに成功した、バランスの取れた珠玉作」と評価。
映画雑誌「PREMIERE」のティエリー・シェーズ編集長はTwitterで「是枝の名作『ベイビー・ブローカー』はパルムの上位に食い込むだろう」と受賞の可能性を予想した。
カンヌ国際映画祭は28日(現地時間)まで開催され、最終日のクロージング・セレモニーで授賞が発表される。
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