ときに死と隣合わせにもなる長く困難な道のりを「勉強したい」という一心だけで通い続ける子どもたちを追った感動のドキュメンタリー『世界の果ての通学路』。フランスで123万人の観客動員を記録し、世界各国で絶賛された本作のパスカル・プリッソン監督と、映画にも登場するケニアの兄妹・ジャクソンとサロメが来日。3月22日にシネマート六本木で行われた試写会に登場した。
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この日は、小児科医で、発展途上国の医療プロジェクトにも多く関わってきた榊原洋一 お茶の水女子大学大学院教授も登壇。「学校に行くのが嫌な子どもたちをたくさん見ていますので、大きな感銘を受けました。日本なら親が行かせないような危険な場所に子どもを信じて送り出していることにびっくりしましたし、それに子どもたちが応えている、その達成感が顔に表れている。そういう子どもたちに学ぶことがあるというのが第一印象です」と映画の感想を語ると、プリッソン監督は「先進国の子どもたちは学校に失望しているところがあるので、(本作を見ることで)学びたいという思いをかき立ててくれるといいなと思います」と応じた。
さらに榊原教授は「日本の子どもたちも、ジャクソンのように勉強したいという思いは根っこにあるのかもしれないが、周りの大人がそこをひっぱりすぎるので疲れてしまい、学校へ行くのが嫌になってしまうのかもしれない」と解説。子どもの無気力化を防ぐための方策として、「親御さんに言いたいのは、子どもには外国に行くことを経験させて欲しい。子どもはまずは経験だと思うのです。(子どもは)大人の目で見るよりずっと感受性が豊かです。日本の自尊感情が低いことが、学習意欲の低下につながっているかもしれないと言いましたが、それは大人のせいかもしれない。経験をさせたら、もっと大きな野望を持てるかもしれない。できるだけ自分の目で見る経験をさせてあげたい。この映画でますますその念を強く感じます」と熱く語った。
また監督も「これを見ながら、自分たちに欠けているのは何か考えてくれたらと思います。おそらくたくさんの子どもたちが『自分たちはなんて恵まれているのか』と気づくと思います。私はそれを願っています」と、映画に込めた想いを力説した。
一方、13歳のジャクソンと10歳のサロメは、自分たちを学校に通わせてくれる両親への感謝を語ってから、「リスクのある旅をしている理由は、両親が行けと言ってくれたからというのもあるけど、段々自覚が出てきたんだ。学校というのは将来への源であり、行動を起こす場所だ。もっと明るく未来のある明日にむけて、色々なことを学ぶ場所なんだ」と困難を乗り越えて学校に通う理由を説明。「今回、多くの人から(日本では)学校に行くのが嫌だと思っている人が多いと聞きました。学校というのは素晴らしい人生への道のり、行かないのは間違っているよ。学べる機会を大切にして欲しい。学びたくても学べない人たちに手を差し伸べて欲しい」とも訴えた。
『世界の果ての通学路』は4月12日よりシネスイッチ銀座ほかにて全国順次公開される。
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