ハリウッド大作を担うアメコミヒーロー映画の原作元となる2大出版社がDCコミックとマーベル。毎年新作映画が公開され、今勢いがあるのがマーベルだが、ようやくDCコミックも反撃ののろしをあげた。7月下旬に米国サンディエゴで開催されたコミックイベント「コミコン」で、16年公開『バットマンVSスーパーマン:ドーン・オブ・ジャスティス』の出演者ヘンリー・カヴィル(スーパーマン)、ベン・アフレック(バットマン)、ガル・ガドット(ワンダーウーマン)が映画をPR。初めてワンダーウーマンの姿をお披露目して、会場に集まった6000人の大きな喝采を浴びた。
・続々と製作、アメコミヒーロー映画にみるハリウッドのシリーズ化戦略
当初は16年5月6日に公開日を設定し、『キャプテン・アメリカ3』と同日公開となることから「DCコミックVSマーベル」としても注目を浴びたが、3月26日に公開を前倒しした。同時にDCコミック作品9本を2020年までに公開すると発表した。
『バットマンVSスーパーマン』を16年3月に公開するのを皮切りに、8月、17年6月と11月、18年3月と7月、19年4月と6月、20年4月と6月に公開する。今後、公開時期がずれる作品が出ることは考えられるものの、作品の企画開発が順調に進んでいる自信の表れといえるだろう。
DVコミックの2大ヒーローがスーパーマンとバットマンで、スーパーマンが昨年、バットマンが今年で75周年を迎える。これを機にDCコミックのブランドを高める狙いもあるだろう。
DCコミックの映画化が軌道に乗ったのは、スーパーマンのシリーズ化が成功したためだ。クリストファー・ノーラン監督はバットマンの再シリーズ化に成功し、05年『バットマン ビギンズ』、08年『ダークナイト』、12年『ダークナイト ライジング』と3部作を製作した。一方、再シリーズ化を狙い06年に公開された『スーパーマン リターンズ』は興行成績が伸び悩み、シリーズ化に失敗。同じくシリーズ化を狙って11年に公開した『グリーン・ランタン』も興行成績が伸び悩み、シリーズ化に失敗。バットマンシリーズが終了し、DCコミック映画がないなか、13年に公開した新スーパーマン『マン・オブ・スティール』が成功して、ようやくDCコミックス映画のシリーズ化に弾みがついた。
またこのタイミングでDC作品9本の公開を発表したのは、テレビシリーズが好調な勢いを映画につなげたい思惑もあるだろう。DCのキャラクター、グリーンアローが活躍するテレビシリーズ『ARROW/アロー』が今年10月からサード・シーズンに突入。合わせて、今秋から3つの新シリーズがスタートする。『アロー』に登場したザ・フラッシュを主人公にした『ザ・フラッシュ』、キアヌ・リーブス主演で映画化もされた『コンスタンティン』、そしてバットマンに登場するキャラクターの若き日を描く『ゴッサム』(ゴッサムとはバットマンの舞台となる街の名前)だ。これらが映画化されるかは不明だが、DCファンを増やすのに貢献しているのは間違いない。(文:相良智弘/フリーライター)
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