8月23日は奴隷貿易とその廃止を記念する国際デー。1791年8月22日の夜から23日にかけて、フランス植民地のサン=ドマング(現:ハイチ)で、大西洋奴隷貿易の廃止の重要なきっかけとなった「ハイチ革命」が始まったことにちなむ記念日だ。
この国際デーは、奴隷貿易の悲劇を全ての人々の記憶に刻むことを目的としている。今日は、奴隷制について知ることができ、考えるきっかけとなる映画を2本紹介しよう。
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壮絶な奴隷生活を綴った伝記を映画化『それでも夜は明ける』
まず1本目に紹介するのは、2014年に公開された『それでも夜は明ける』。アメリカ南部の農園に売られた黒人ソロモン・ノーサップが12年間の壮絶な奴隷生活を綴った伝記を映画化したものだ。
舞台は1841年、奴隷制度が廃止される前のニューヨーク州サラトガ。自由黒人のヴァイオリニストであり、家族と共に幸せに暮らしていた主人公・ノーサップはある日拉致されて奴隷商に売られてしまう…。ちなみに自由黒人とは、アメリカの歴史において法的に“奴隷ではない黒人”という地位にあった人々のことを指す。
自由で幸せな立場から一転、ノーサップが連れてこられた環境はあまりに過酷なものだった。同じ人間なのに、黒人というだけで、奴隷というだけでここまで理不尽な扱いをすることができるものなのか…と絶句し、時には目を塞ぎたくなるほど。
あまりにも酷い歴史だが、ノーサップが過酷な環境の中でも、希望を失わず12年間過ごしたからこそ、私たちは事実を知ることができる。奴隷制の現実を知る上で、本作はぴったりの映画と言えるだろう。
今なお続く黒人差別を考えるきっかけになる『アンテベラム』
続いて紹介するのは、2021年に公開された『アンテベラム』だ。本作は、『ゲット・アウト』『アス』で話題を呼んだプロデューサー、ショーン・マッキトリックが製作を務めている。
アメリカ南部のプランテーションで過酷な労働を強いられる黒人女性・エデン。博士号を持つ社会学者としての顔も持ち、人気作家として家族と幸せに暮らす黒人女性・ヴェロニカ。境遇の異なる2人の人物をジャネール・モネイが演じているのだが、2人の人生が交わったとき、衝撃の事実が明らかになる…。
かつてのアメリカ南部と思われる世界と、現代のアメリカ。その対比という意味では自由黒人と奴隷黒人、2つの立場が描かれた『それでも夜は明ける』と少し似ており、『それでも夜は明ける』で予備知識をつけた後だと本作はより深く考察できるかもしれない。
本作で注目したいのは、現代においてもこんなにも色濃く黒人差別が残っているということ…。「歴史上のこと」「過去のこと」ではなく、黒人差別との戦いは今なお続いているのだと本作を見ると思い知らされる。ラストでは驚きの“仕掛け”が明かされるので、ぜひ見る前のネタバレには注意して鑑賞してほしい。(Y)
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