RADWIMPSのフロントマン、野田洋次郎が
映画初出演にして初主演!
古くはショーケンやジュリーから長渕剛、玉置浩二、坂本龍一、さだまさし、矢沢永吉などなど、ミュージシャンを本業とする人が役者もやるというケースは、特に珍しいわけではない。最近で言えば福山雅治や吉川晃司、中島美嘉、及川光博、miwaあたりがその代表格だが、そういったメインストリーム以外でも、耳の肥えたな音楽ファンに支持されるミュージシャンの役者仕事が、このところ増えている。
たとえば6月に解散ライヴを行なうことを発表したばかりのSAKE ROCKのメンバー、星野源(『箱入り息子の恋』『地獄でなぜ悪い』)と浜野謙太(『体脂肪計タニタの社員食堂』『ジャッジ!』)。銀杏BOYZの峯田和伸(『アイデン&ティティ』『色即ぜねれいしょん』『ピース オブ ケイク』)、くるりの岸田繁(『色即ぜねれいしょん』)、電気グルーヴのピエール瀧(『凶悪』『そして父になる』)、ムーンライダーズの鈴木慶一(『ゲゲゲの女房』『もらとりあむタマ子』)など。特にピエール瀧については、以前にも当コラムで紹介したように出演作がかなり多く、今夏もすでに『進撃の巨人』への出演が決まっている。
今後上映が予定されている作品にも、若手〜中堅ミュージシャンの出演が話題になっているものがいくつかあるが、なかでもRADWIMPSのフロントマン、野田洋次郎が映画初出演にして主役に抜擢された『トイレのピエタ』(6月6日公開)は注目だ。
手塚治虫が死の直前まで手放さなかった日記の最後のページに書かれていたという“トイレに描かれたピエタ(十字架で絶命したイエスを抱く聖母マリアをモチーフとした絵や彫刻)”というアイディアを松永大司監督が膨らませたオリジナル作品で、野田は余命3ヵ月の宣告を受けた元・画家志望の青年を演じている。
本編は未見だが、予告編を見る限り、野田は大竹しのぶや宮沢りえ、リリー・フランキーらが脇を固めるなか、自然体の演技で主演をこなしている。RADWIMPSとして主題歌の「ピクニック」も提供。こちらもフルサイズの楽曲はまだ公開されていないものの、予告編で断片的に聴ける曲調は作品の世界観を反映したア壮大なバラードで、おのずと作品への期待が高まる。(後編へ続く…)(文:伊藤隆剛/ライター)
伊藤隆剛(いとう りゅうごう)
ライター時々エディター。出版社、広告制作会社を経て、2013年よりフリー。ボブ・ディランの饒舌さ、モータウンの品質安定ぶり、ジョージ・ハリスンの趣味性、モーズ・アリソンの脱力加減、細野晴臣の来る者を拒まない寛容さ、大瀧詠一の大きな史観、ハーマンズ・ハーミッツの脳天気さ、アズテック・カメラの青さ、渋谷系の節操のなさ、スチャダラパーの“それってどうなの?”的視点を糧に、音楽/映画/オーディオビジュアル/ライフスタイル/書籍にまつわる記事を日々専門誌やウェブサイトに寄稿している。1973年生まれ。名古屋在住。
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