誘拐ビジネスが蔓延するメキシコ。娘を奪われた母の執念は、軍を巻き込んで犯罪組織を追い詰める

#クリスティアン・ムンジウ#ダルデンヌ兄弟#テオドラ・アナ・ミハイ#ミシェル・フランコ#映画#母の聖戦

『母の聖戦』
(C)MENUETTO FILM, ONE FOR THE ROAD,LES FILMS DU FLEUVE, MOBRA FILMS&TEOREMA

庶民が犯罪組織に搾取され、警察にも取り合ってもらえない非情な現実

知られざるメキシコの誘拐ビジネスの闇に迫り、我が子の奪還を誓った母親の想像を絶する愛と執念の物語『母の聖戦』。本作より特報映像を紹介する。

・「必ず娘を取り戻す!」凄まじい母の執念を実話を元に描いた社会派映画

現代のヨーロッパを代表する名匠のダルデンヌ兄弟、『4ヶ月、3週と2日』(07年)でカンヌ映画祭パルムドールに輝いたクリスティアン・ムンジウ、『或る終焉』(15年)で知られるメキシコの俊英ミシェル・フランコがプロデューサーとして参加し、テオドラ・アナ・ミハイ監督の劇映画デビューとなった本作。犯罪組織に誘拐された娘を奪還するため、命がけの闘争に身を投じた女性の実話をベースに、ごく平凡なシングルマザーの主人公がたどる想像を絶する運命を映し出す。

ある日突然、娘を誘拐された主人公シエロは、容赦なく身代金をむしり取られ、たちまち孤立無援の極限状況に陥る。誰にも頼れないことを悟ったシエロは、危険を顧みず犯罪組織への監視、追跡を行い、軍をも巻き込んで娘の捜索を繰り広げていく。

年間約6万件(推定)の誘拐事件が発生するメキシコを舞台に描かれた本作は、決して裕福ではない庶民が犯罪組織に搾取され、警察にも取り合ってもらえない非情な現実を描き出す。全編にわたって主人公シエロの視点でストーリーが展開し、観る者を誘拐ビジネスの闇の奥深くへと誘い、この世のものとは思えない理不尽な暴力が渦巻く光景を目撃させていく。母の深い愛情と強い怒りを描いた衝撃作であり、並外れた緊迫感がみなぎるクライム・スリラーだ。

特報映像では、愛する娘を誘拐されたシングルマザーのシエロが、警察や友人、別れた夫など周囲の人々に相談する。だが、「捜しても無駄だ」と相手にされず、誰も助けてくれない。そしてシエロは「娘のために命を懸ける」と、たった一人で巨大な犯罪組織に挑む決心を固める。母の娘を想う強い気持ちに胸が締め付けられる映像だ。

『母の聖戦』は2023年1月20日より全国公開される。