(…前編より続く)
○【3位予想】『ブラック・スキャンダル』
実在のマフィアで、FBI史上最高の懸賞金をかけられたジェームズ・ホワイティ・バルジャーの生涯を描いたクライムサスペンス。バルジャーを演じるのはジョニー・デップ。監督は映画『クレイジー・ハート』のスコット・クーパー。
日本でも非常に高い人気を誇るジョニデ。『チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密』(15年/KADOKAWA)は、全国638スクリーンで公開され初週土日動員10万9000人、興収1億4000万円で3位、『トランセンデンス』(14年/ポニーキャニオン、松竹)は全国535スクリーンで初週土日動員8万5000人、『ローン・レンジャー』(13年/ディズニー)は全国518スクリーンで初週土日動員23万6000人、『ダーク・シャドウ』(12年/ワーナー)は全国571スクリーンで公開され、初週土日動員31万1000人という数字を残している。
劇場公開数は約260館。『ラム・ダイアリー』(12年/ショウゲート)こそ公開規模の関係で大きな初週動員にはならなかったが、大手配給が手掛けた作品はそれなりの結果を出している。俳優で集客できる大物。内容的にやや硬派な印象があり、どこまで広い層に訴求できるかがカギとなりそうだが、10-15万人は集客できるだろう。
・(前編)【週末シネマリサーチ】前作比300%超の前売り売上げ!「さらば」で『あぶ刑事』旋風は吹き荒れるか!?
▲【8位予想】『残穢(ざんえ)-住んではいけない部屋-』
小野不由美のホラー小説を、映画『白ゆき姫殺人事件』の中村義洋監督で映画化。ミステリー小説家の元に届いた手紙に書かれた「部屋の異変」。その実態を小説家と投稿者が調査をしていくうちに驚愕の事実に直面し翻弄されていく姿を描く。主演は竹内結子、共演に橋本愛、佐々木蔵之介、坂口健太郎、滝藤賢一らが顔を揃える。
多くのメジャー作品を手掛ける中村監督。『予告犯』(15年/東宝)は全国321スクリーンで公開され、初週土日動員14万4000人、『白ゆき姫殺人事件』(14年/松竹)は全国305スクリーンで公開され、初週土日動員12万4000人という結果がある。竹内も『ストロベリーナイト』(13年)、『ジェネラル・ルージュの凱旋』(09年)などで主演をつとめ、それぞれ大きな数字を残している。
劇場公開数は約220館。1月14日には完成披露試写会が行われ、メインキャストが出席。竹内が、買った自転車を5分で盗まれてしまった過去を告白し話題になった。その他、秋葉原ワシントンホテル、ナムコとコラボした期間限定の謎解き体験イベントなど、ホラーでありながらも、コアなファンばかりでなく裾野を広げるプロモーションを展開。上記、中村監督作品との比較で5-8万人が目安か。
△【10位予想】『道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUMENTARY of NMB48』
AKB48グループで、大阪・難波を拠点に活動するNMB48の軌跡を綴ったドキュメンタリー映画。
これまでAKB48、SKE48、乃木坂46など各グループのドキュメンタリー映画が公開されてきた。直近では『悲しみの忘れ方 DOCUMENTARY of 乃木坂46』(15年/東宝映像事業部)が全国46スクリーンでの公開ながら初週土日動員2万9000人を集客し、9位にランクイン。AKB48のドキュメンタリーシリーズも同規模公開ながら、ランキングに顔を出すことが多かった。
本作は約20館と小規模公開のため、ランクインするのはやや厳しいかもしれないが、NMB48は「アイドル不毛の地」と言われていた大阪で、不屈の魂で活動を続けてきた。そんな彼女たちの5年間を確認したいと思うファンは多いのではないだろうか。
【注目シネマ】
*『猫なんかよんでもこない。』
先が見えてしまったボクサーが、2匹の猫との出会いにより、少しずつでも前に進んでいく姿を、ほのぼのとしつつもほろ苦く描いた人間物語。映画『グッモーエビアン!』や『探検隊の栄光』の山本透監督がメガホンを執り、主演を風間俊介が務める。
『猫侍』シリーズの大ヒットを見ても分かるように、『猫』を題材にした作品は熱狂的なファンがいる。本作に登場する2匹の猫も見ているだけで温かい気持ちになれるほど愛らしい。そんなビジュアル面とは裏腹に、物語はちょっとビター。このバランスがたまらない。劇場公開数は約70館とそれほど規模は大きくないが、口コミによる猫作品の広がりは侮れない。初週で大きな数字は難しいかもしれないが、好結果を残すだけの潜在能力はある。(文:磯部正和/映画ライター)
磯部正和(いそべ・まさかず)
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。
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