9月に入ってからも『君の名は。』の快進撃が続いている。
9月25日までの公開後約1ヵ月間で観客動員数は850万人を超え、興収は111億6600万億円。今年の邦画ナンバーワンヒット作『シン・ゴジラ』(74億円)を上回り、年間ナンバーワン『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の115億円に迫っている。通常の大ヒット作は公開週末に猛ダッシュとなるオープニング興収を記録した後、2週目、3週目と経るに連れて興収が20%〜30%ずつ落ちていくものだが、『君の名は。』は2週目でアップするという異例の興行を展開している。9億3000万円→11億6100万円→11億3500万円→10億8000万円→8億6300万円。口コミで評判が広がった表れだ。
今後の注目は、興収がどこまで伸びるか。日本映画歴代興収トップ5は『千と千尋の神隠し』304億円、『ハウルの動く城』196億円、『もののけ姫』194億円、『踊る大捜査線 THE MOVIE 2』173.5億円、『崖の上のポニョ』155億円。
9月公開作の1位は『スーサイド・スクワッド』。出演者のウィル・スミス、マーゴット・ロビー、福原かれんが来日してジャパンプレミアを開催した。スミスは『インデペンデンス・デイ/リサージェンス』には出演せず、本作を選んだだけに宣伝にも力が入っているようだ。また公開記念イベントにリオ・オリンピックで金メダルを獲得した柔道のベイカー茉秋が参加するなどしてメディア露出につなげた。公開16日間の興収14億円は、『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』とほぼ同じ成績だ。
2位は『四月は君の嘘』。主演の広瀬すずと山崎賢人が完成披露試写会や公開直前イベント、初日舞台挨拶に出席。また数多くのテレビ番組などでPR活動に務めた。
3位は『超高速!参勤交代リターンズ』。こちらも主演の佐々木蔵之介が中心となり数多くのテレビ番組などでPR活動につとめた。また公開直前に前作がテレビ放映されたことも注目度アップにつながったようだ。
同じく3位は『映画 聲の形』。高い評価を受けた同名マンガを、『けいおん!』『たまこラブストーリー』などで知られる京都アニメーションと山田尚子監督がアニメ映画化。上映スクリーン数は120と中規模ながら、アニメファンを集めてスマッシュヒットとなった。(文:相良智弘/フリーライター)
[9月公開作ランキング]
1位『スーサイド・スクワッド』14億円
2位『四月は君の嘘』10億
3位『超高速!参勤交代リターンズ』9億円
『映画 聲の形』9億
※『君の名は。』(8月公開)112億円
(9月25日時点。ムビコレ調べ)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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