【映画を聴く】『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』前編
シリーズ通してサントラも秀逸!
今日から公開されるシリーズ第3作『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』は、2001年の初作と同じように、幕が上がってすぐのところでジェイミー・オニールの「All By Myself」の絶唱が始まる。エリック・カルメンが1975年にヒットさせて以来、セリーヌ・ディオン、トム・ジョーンズ、シャーリー・バッシー、シェリル・クロウなど、多くの“歌い上げ系”ヴォーカリストが好んで取り上げてきた名バラードである。
・レニー・ゼルウィガーとパトリック・デンプシーが仲良くジャパンプレミア!
32歳の出版社勤務OLから、43歳の敏腕TVプロデューサーへ。すっかりスリムになり、アパートのインテリアもいくらかおしゃれに。脱ぎっぱなしの服や洗われていない食器もあまり見あたらない。日記は手書きからタブレットに移行した。そういうことだけを並べれば、あのブリジットも順風満帆に歳を重ねてきたんだなと思える。しかし実際は“お独りさま化”がさらに進行し、自分のために「ハッピーバースデー」を歌ってロウソクを消し、独り寂しくケーキを食べている。“私は独りぼっち そうはなりたくない もう独りで生きようとは思わない”−−そう歌われる「All By Myself」の歌詞も、以前よりいっそうシニカルさを増して鳴り響く。
初作ではシェルビー・リンやガブリエル、チャカ・カーン、ダイアナ・ロス&マーヴィン・ゲイ、アレサ・フランクリンなど、第2作『ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12ヶ月』ではジョス・ストーン、バリー・ホワイト、10cc、カーリー・サイモン、プライマル・スクリームなど。どちらもブリジットぐらいの世代の英国の女性がいかにも聴いていそうな楽曲ばかりで、サウンドトラックは彼女の選曲したプレイリストを聴いているような気にさせてくれる好編集盤に仕上がっていた。
サウンドトラックの秀逸さは、この第3作目も同じ。今回はアイズレー・ブラザーズやテンプテーションズ、ディオンヌ・ワーウィックらによるR&Bクラシックと呼べる定番曲が多めで、43歳のブリジットにふさわしい落ち着きのあるトーンが前面に出ている。そのいっぽうで、劇中のブリジットが女友だちと出かけるグラントンベリー・フェスティバル(イギリスの大規模な野外ロックフェス)に本人役で登場するエド・シーランのほか、エレクトロニカ・バンドのイヤーズ&イヤーズといった若手の楽曲も収録。前2作以上のドタバタ騒ぎをアッパーなビートで盛り上げている点も聴きどころだ(後編へ続く…)。
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