【興行トレンド】候補作400のうち、映画化されるのは25本の狭き門!
話題作がハリウッドで映画化されるというニュースはしばしば報じられるが、実際に映画化されたという話はほとんど聞かれない。ではそのニュースはデマなのか? ハリウッド・リメイクのシステムはどのようなものなのか? その実際を解説する。
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これまで『AKIRA』『新世紀エヴァンゲリオン』『宇宙戦艦ヤマト』など日本製のアニメやマンガがハリウッドで映画化されるニュースが報じられてきたが、実際に作品が完成・公開されたのは『スピード・レーサー』『DRAGONBALL EVOLUTION』くらい。ここに『ゴースト・イン・ザ・シェル』(『攻殻機動隊』)が加わった。この背景にあるのは、ハリウッドの映画製作システムだ。
ハリウッドの映画会社やプロデューサーは、映画化したいアニメやマンガを見つけると、日本の出版社など権利元にアプローチする。 交渉の末、映画化を一定期間検討することができる「オプション権」(2年が基本)を獲得。その間に脚本を作成する。2年間で脚本が完成しない場合はオプション権を延長し、脚本の作成にあたる。脚本が完成すれば主演俳優や監督のめどを立て、スタジオが「ヒットの可能性が高い」と判断すれば製作を決定、本契約を結ぶ。
「大手映画会社が1社あたり所有するオプション権は400にのぼり、そこから製作にゴーサインが出るのは25本程度」(映画関係者)といわれ、本契約への道のりは遠い。オプション契約の段階で 「ハリウッドでの映画化が決定」 と報道されるケースが大半のため、 なかなか作品が公開されないのだ。脚本が完成せずに、原作権が権利元に戻るケースもある(『寄生獣』がこれに該当する)。
『ゴースト・イン・ザ・シェル』では脚本完成までに数年を要した。製作費に100億円以上を投入する大作なので、映画会社では納得する脚本ができるまで何度もリライトする。脚本がリライトされる度に、映画会社の製作責任者やプロデューサー、監督、原作者といった関係者が意見を出す。世界中の観客をターゲットにするので分かりやすい内容にするとともに、原作を生かしたキャラクターでなければいけない。そのバランスを取るのに時間がかかったようだ。(文:相良智弘/フリーライター)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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