山田杏奈がさとり世代にメッセージ「自分が今以上に居たい場所を考えるきっかけに」
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コロナ禍を経た日本において映画を通じて届けたい思い
映画『山女』の上映会&記者会見が6月26日に日本外国特派員協会にて開催され、主演の山田杏奈と福永壮志監督が登壇した。記者会見では、日本での劇場公開に先駆けて、海外メディアに向け、コロナ禍を経た日本において本作を通じて届けたい思いや、さとり世代と呼ばれる山田の同世代に向けたメッセージなどが語られた。
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イベントの冒頭、主演の山田、福永監督から来場した海外メディアに向け流暢な英語での挨拶からスタート。山田は「できるだけ多くの方にこの映画を広めたいと思っておりますので、宜しくお願いします」と、本作に懸ける意気込みを集まった外海外メディアに伝えた。
続いて来場した記者からの質問に答えるQ&Aを実施。本作の舞台は、日本中が大飢饉に見舞われた18世紀末の東北。なぜ今この時代にこの物語を届けたいのか、と問われた監督は「柳田國男の『遠野物語』という小説を読み、当時の人たちが自然とどのように関係性を築き生活していたのか、面白いものを垣間見ることができて、これをぜひ映画化したいと思いました」と企画の発端を明かした。
また、「このパンデミックを含める数年間は日本社会の同調圧力が非常に強いことが浮き彫りになったと思います。コントロールできる状況ではないにも関わらず、”感染するのが悪いこと・無責任なこと”と世間からの同調圧力が強く、感染したことを言い出せない世の中でした。それが特定のエピソードではなく、作品全体に反映されています」と特にコロナ禍を経た日本だからこそ、届けたい作品に懸ける思いを明かした。
一方、初めて長編の時代劇映画に参加したという山田は、「私が想像する時代劇は、江戸時代の所作を意識して演じるイメージでしたが、今回は時代劇だからというよりも、1人のあの村に生まれた凛という女性をどのように作っていくか、彼女の境遇や、彼女は何を考えて過ごしているのかということを意識して演じました」と役へのアプローチを明かした。
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撮影地について問われた監督は、「早池峰山の実景以外は全編山形で撮影しました。森では樹齢数百年の木々があり素晴らしかったです。山男が住む洞窟も実際に人が使っていた洞窟で、そこから来るパワーもキャストの方々がうまく活かしてくれたと思います」と語った。
それに続けて山田も「私もパワーをもらいながら撮影をしていました。普段東京に住んでいるので、森の中の撮影は有意義でした。ただ、ものすごく虫に刺されて大変でしたね」と撮影時のエピソードを明かし、記者の笑いを誘った。
前作『アイヌモシリ』(20年)との共通点や意識したことを聞かれた監督は、「特に意識していたわけではありませんでしたが、完成後に共通点が出てきました」と述べた上で、「共通して描かれている自然は人間の力が及ばないもので、そこから学べることはたくさんあると考えています。言葉では表しきれないもの、目に見えないものは映画というメディアだからこそ表現できるもの」と熱く語った。
『アイヌモシリ』を本作の出演が決まった後に鑑賞したと言う山田は、「職業としての役者を主演に起用するのが初めてだったと聞いて、すごくプレッシャーに感じました。『アイヌモシリ』で目に見えない生々しさを感じて、その空気感をどうしたら自分が出せるのかを一番気にしながら現場にいました」と本作で抱えていたという葛藤を明かした。
その後も記者からの質問は止まず、最後に、若い同世代に向けてどのように映画を見てほしいかと問われた山田は、「私自身はさとり世代と呼ばれる世代らしく、何かに期待したり、傷つかないように最初から自衛している部分があると自覚しています。彼女も生まれてきた環境で、その環境を当たり前だと思っていたけれど、山に入ってもっと自分らしくいれる場所を見つけたように、この映画が、自分が今以上に居たい場所を考えるきっかけになってくれると嬉しいです」とメッセージを伝え上映会を締めくくった。
映画『山女』は6月30日より全国順次公開。
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