太宰治の没後75年記念! 戦争を描いた名作短編が、監督・福間雄三×主演・窪塚俊介で映画化
太宰を思わせる語り部が、戦争を出征したまま未だ帰って来ない教え子を回想
太宰治の没後75年を記念し、監督・福間雄三×主演・窪塚俊介のタッグにより、太宰治が戦争を描いた隠れた名作短編を映画化した『未帰還の友に』が劇場公開されることが決定した。
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本作の原作「未帰還の友に」は、1946年5月号の「潮流」に発表された短編。戦争を出征したまま未だ帰って来ない教え子の身の上を案じながら、太宰を思わせる語り部の“先生”が懐かしく、にがく回想する物語だ。戦争下で当たり前の生活が一変していく様を描いただけでなく、出征した教え子の恋愛心理の機微と、戦争によってちりぢりになってしまった人間の儚さも描かれている。
また、映画オリジナルの味付けとして、当時の新宿ムーランルージュの舞台で、出征する学生たちにも絶大な人気を博した明日待子、教え子と恋に落ちる新人ダンサー・マサ子も登場する。
小説家の先生(窪塚)は、自分を慕う学生たちの中でも鶴田(土師野隆之介)に特別に友情を感じるようになる。そんな中、鶴田の出征が決まり、先生は彼と酒を交わす時間を設ける。
鶴田の恋人である居酒屋の娘・マサ子(清水萌茄)は、新宿ムーランルージュの舞台に立っていたが、2人は手紙のやりとりを通して関係を続けていた。だが、出征が決まった鶴田は苦しみながらも彼女との別れを決心し、先生にそのことを告げる。そして時代は戦争の泥沼の中で、多くの若者たちの犠牲を強いていく…。
主人公の“先生”には、大林宜彦作品などで異彩を放つ窪塚俊介。「純粋に短編小説としてとても味わい深いものを感じました。語り部である『先生』なる人が、後に愛人と共に入水しない人物だとしても。太宰治氏の人生の中の切り取られた一時期を演じるのではなく、『未帰還の友に』に登場する『先生』として生きることを大切に過ごしました」と語る。
教え子・鶴田には、主演映画『ロボット修理人のAi(愛)』にてドゥルク国際映画祭主演男優賞受賞した実力派若手俳優・土師野隆之介。「この作品の中で鶴田の存在は、戦禍における一縷の希望であり、同時に絶望の象徴でもありました。演じていて辛かったです。人が人を想うことの強さ、美しさを感じていただけたらと思います。戦争の足音を感じる昨今、この作品が小さな波紋となって広がっていってくれることを願っています」と思いを込める。
そして鶴田と恋に落ちる居酒屋の娘マサ子を清水萌茄、井伏鱒二を詩人・萩原朔太郎の孫で俳優としても活動する萩原朔美が演じる。
監督は『女生徒・1936』(13年)の福間雄三。「原作にある『生活人の強さというのは、ノオと言える勇気ですね』と、太宰の言葉『かくめい』の『自分でしたことは、そのように、はっきり言わなければ、かくめいも何も、おこなわれません』をオーバーラップさせ、この映画化を考え始めました。本作では、いままでの映画にはない、新鮮な太宰治像が生まれてきたな、表現できたなと思っています」と自信をのぞかせる。
『未帰還の友に』は12月15日より全国公開。
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