…前編「板尾創路、腕を上げた! 職人監督に徹した『火花』ついに公開」より続く
【元ネタ比較】映画『火花』中編
青春ドラマの熱さと感動が!
お笑い芸人・ピースの又吉直樹原作の芥川賞受賞作にして、累計部数300万部を突破した「火花」が映画化された。
売れない漫才師の徳永と先輩・神谷の付かず離れずの交流と共に、お笑い界でもがきながら歩んでいくさまが描かれる本作。原作は又吉の簡潔にして美しい文章で、独特のこだわりを効かせながら綴られていき、波乱万丈なストーリーはなく淡々とした展開だ。
全10話からなるドラマ版では、徳永が書く神谷の伝記として又吉の文章が引用され、またエピソードや登場人物が新たに加えられたり膨らませられたりして、じっくりと描かれていく。
なあなあで馴れ合っているわけではない2人に漂う微妙な緊張感や、“スパークス”が少しだけ売れ出したりまたもや低迷したりという芸人としての一進一退は、掘り下げて描く原作よりはどうしても伝わりづらい。
だが、映画版はスピーディに展開するだけに、ないに等しいと思っていたストーリーの起伏が感じられ、青春ドラマの体をなしている。青春ドラマの熱さと感動に導く吸引力があるのだ。
それは役者の持つオーラが醸し出す面も大きいだろう。主人公の若手漫才師・徳永に扮するのは菅田将暉。今や押しも押されもせぬ邦画界を代表する若手実力派だが、自身の駆け出し時代にはダウンタウンのDVDを見て自分を鼓舞していたらしく、俳優よりもダウンタウンを敬愛し、バラエティ番組の『ダウンタウンなう』で彼らを前に用意していた手紙を読み上げて号泣していた姿は、お笑い好きとしては非常に好感が持てた。そんな彼とお笑いに熱い思いを抱く徳永役は重なる部分があるのだ。
また、先輩の神谷を演じるのは桐谷健太で、彼の存在によって作品全体の印象が原作やドラマ版と違ってグッと温度が上がっているように思う。
・後編「菅田将暉&桐谷健太の名曲カバーで、ラストも抜かりなく盛り上げる」に続く…
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