「3人でのセックスは、ものすごくプラトニックなものを感じ…」若者の三角関係描く『車軸』を出演者&ゲストが語る
セクシャルマイノリティの視点を織り込んだ短歌で知られる小佐野彈の小説を映画化
東京・歌舞伎町で生きる若者の三角関係を描き、現代の若者のリアルな姿を炙り出す⻘春映画『車軸』。本作のシークレットイベントに大学生・真奈美役の錫木うり、マダム・エドワルダ役のTIDA、松本准平監督、さらに特別ゲストとして社会学者の宮台真司、東京新聞記者の望月衣塑子が登壇した。
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本作は、セクシャルマイノリティの視点を織り込んだ数々の短歌を発表し、多くの賞を受賞した歌人・小説家の小佐野彈による同名小説の映画化。
資産家でオープンリー・ゲイの潤役に矢野聖人。裕福な実家を“偽物”と嫌悪する大学生の真奈美役に錫木うり。潤に枕営業をするホスト・聖也役に映画『忌怪島』に出演し話題となった水石亜飛夢。さらに、リリー・フランキーや筒井真理子、奥田瑛二ら実力派俳優が脇を固める。
今回、新宿LOFT /PLUS ONEにて、映画公開前のシークレットイベント「LOFT PLUS ONE × 9MONSTERS Presents 映画『車軸』シークレット試写&トークライブ第2弾」が開催された。
映画を見たばかりの観客の拍手の中で登壇した松本監督は、「色んな想いがこもっている映画です。撮りながら『何が映り込んでくれるだろう』と、ワクワクしていました」と挨拶。続いて特別ゲストの宮台が「真奈美役の錫木うりさんは、ちょっとやばい感じ…すごく良い表情でした」と錫木の演技をベタ褒め。監督も「素晴らしかったですね。監督冥利につきるものが撮れました」と喜んだ。
さらに宮台は「僕たちは枠付けられているんだよね。常識とか、本当はそういった枠の外で感情が働くからね。そういったことを確かめるような映画。枠の中にいるときには想像できなかった種類の深さや方向性で愛情があるんだなということがわかる。見終わったあと、お客さん同士が話すと良いよね。この映画は人によって受け取り方が違う。その違いは僕たちが普段どれだけ枠を刻まれているのか、刻まれた枠が人にとって違うということを知る良いチャンスになると思う。この映画はそのための作品だなと思いましたね」と語った。
望月は「最近ゲイカップルの映画やドラマがすごく増えてLGBTQにまつわる話が社会的にも注目を浴びているが、今回は単なるジェンダーの問題など社会的なテーマを越えていた映画でした。潤(矢野聖人)と真奈美が聖也(水石亜飛夢)を交えてする3人でのセックスは、逆に精神的な繋がりというか、ものすごくプラトニックなものを感じ、それが強烈に伝わってきました」と作品の印象を語った。
そして、主演の錫木、マダム・エドワルダ役のTIDAが登壇。錫木は「バッドエンドでもハッピーエンドでもない作品ってすごく大切で、そういう映画になっているんじゃないかと思います」と挨拶。ジョルジュ・バタイユの小説「マダム・エドワルダ」の朗読劇で難しい役どころを演じたTIDAは、「私は普段ベリーダンスをやっていて、初めて映画の現場に携わらせていただきました。試写会で映画を見たときに、台本を読んでいたときとは違う自分なりの答えを感じました。見るときのシチュエーションなどで見方が変わる映画です」と思いを語った。
最後に望月が「この映画は良い意味で期待を裏切られましたし、私より一回りくらい歳下の世代の監督たちが素晴らしい作品を作り始めていて、”自分たちの世代だったらこういう表現はできなかっただろうな”というシーンが多くて。新しい感性と、”つまらない”と言いながらある種冷徹に見ているという今の時代を反映していて、そこから皆さんに何かを伝えようとしているというのが伝わってきて、すごい監督さんが出てきたなと感動いたしました。この作品がTOHOシネマズさんで上映されたり、海外の映画祭にたくさん出品されていたり、多くの人が評価されている映画なんだなと感じます。これからが楽しみですし、多くの人に伝わっていってほしいと思います」と絶賛。
続けて宮台が「松本監督の従来の作品は、彼がめちゃくちゃ優しいことがわかるんですよ。そんな風に監督の優しさそのものが映画になった作品って、あんまり見ることないんです。今回『車軸』を見て、『あ、今までと全然違う』と思ったんです。対象に語らせる、映している世界に語らせるということにほぼ徹していて、監督自身の特質が極力抑えてあるというところが、作品の幅が大きく広がったと感じました」と太鼓判。
トークイベントの後も観客からの質問を募集すると続々と手が上がり、その熱気はおさまることなく、大盛況の中イベントは終了した。
『車軸』は11月17日より全国公開。
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