ジェームズ・ボンドは無理だけど…アメリカ人にはジャック・ライアンがある!

#ジョン・クラシンスキー#週末シネマ

『トム・クランシー/CIA分析官 ジャック・ライアン』
アマゾン・プライムビデオにて独占配信中
『トム・クランシー/CIA分析官 ジャック・ライアン』
アマゾン・プライムビデオにて独占配信中
『トム・クランシー/CIA分析官 ジャック・ライアン』
アマゾン・プライムビデオにて独占配信中
『トム・クランシー/CIA分析官 ジャック・ライアン』
アマゾン・プライムビデオにて独占配信中

【週末シネマ】『トム・クランシー/CIA分析官 ジャック・ライアン』
製作者の自信が滲む、配信前に続編が決定!

ジェームズ・ボンドを演じるのは英連邦王国出身の俳優という不文律がある。つまりアメリカ人の俳優がボンドを演じる可能性はほぼゼロ。だからというわけではないだろうが、アメリカにはこれまで5人の俳優が演じてきたCIAエージェント、ジャック・ライアンというキャラクターがある。

“上手い”とは別次元の歌唱力!“ 現役エンターテイナーの歌が圧巻

アマゾンのPrime Videoが8月31日から独占配信中の『トム・クランシー/CIA分析官 ジャック・ライアン』は、トム・クランシー原作の「ジャック・ライアン」シリーズをもとにした全8話のオリジナル・ストーリー。世界同時配信を前にシーズン2の製作が決まったことから、作り手側の自信がうかがえる。

クランシー原作小説の映画化でこれまでアレック・ボールドウィン(『レッド・オクトーバーを追え』)、ハリソン・フォード(『パトリオット・ゲーム』『いま、そこにある危機』)、ベン・アフレック(『トータル・フィアーズ』)、クリス・パイン(『エージェント・ライアン』原作はなくオリジナル・ストーリー)が演じてきたタイトルロールを、ジョン・クラシンスキーが演じている。

本作のライアンは海兵隊出身で、CIA分析官として初めての任務に就いたばかり。アメリカ合衆国本土で大量殺戮を計画するテロリストたちの通信パターンを追跡していくうち、彼自身もヨーロッパや中東へ飛び、渦中へと巻き込まれていく。クラシンスキーはプロットについて「新聞の見出しを集めたようだ」と表現しているが、確かに近年の世界情勢を想起させるエピソードがあちこちにちりばめられ、ストーリーはリアルに迫ってくる。

クラシンスキーはアメリカで大人気のコメディ・シリーズ『ザ・オフィス』のジム・ハルパート役でブレイクし、マット・デイモン主演の『プロミスト・ランド』などに出演。190センチ以上の大柄な体躯ながら、どこか少年ぽさを残した佇まいが特徴だが、今回もタフでありつつ繊細な心を持つCIAエージェント像を魅力的に演じている。

ジャック・ライアンの上司、ジェームズ・グリアをウェンデル・ピアース(『SUITS/スーツ』)、伝染病が専門の医師でライアンの恋人、キャシー・ミュラーをアビー・コーニッシュ(『スリー・ビルボード』)が演じる。ライアンたちが追うテロ組織のリーダーを演じるのは『パラダイス・ナウ』『ワールド・オブ・ライズ』などに出演しているパレスチナ人俳優のアリ・スリマン。

第1話の監督は『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』でアカデミー監督賞にノミネートされたモルテン・ティルドゥム。他に『チリ33人の希望の軌跡』などのパトリシア・リゲン、「ゲーム・オブ・スローンズ」「ウォーキング・デッド」「オザークへようこそ」「ベターコール・ソウル」などドラマで活躍するダニエル・サックハイム、本作のショーランナー、製作総指揮、脚本も務めるカールトン・キューズが演出を担当。

クラシンスキーは本作で製作総指揮を務めるほか、9月28日には妻のエミリー・ブラントを主演に迎え、監督を務めて夫婦共演も果たしたSFホラー『クワイエット・プレイス』が日本公開される。(文:冨永由紀/映画ライター)

『トム・クランシー/CIA分析官 ジャック・ライアン』はアマゾンPrime Videoにて8月31日より独占配信中。

冨永由紀(とみなが・ゆき)
幼少期を東京とパリで過ごし、日本の大学卒業後はパリに留学。毎日映画を見て過ごす。帰国後、映画雑誌編集部を経てフリーに。雑誌「婦人画報」「FLIX」、Web媒体などでレビュー、インタビューを執筆。好きな映画や俳優がしょっちゅう変わる浮気性。