近年アメリカ映画興行を牽引してきたアメコミヒーロー映画。24年は転機を迎える。
・23年の興収1位は『スラダン』。やっぱりアニメ映画が強かった
マーベル人気に陰り? 興行不振を『デッドプール3』で挽回
【興行トレンド】マーベル・スタジオが製作するマーベル映画(マーベル・シネマティック・ユニバース、MCU)はこれまで、1年に3~4本のペースで新作を公開してきた。だが24年のラインナップは『デッドプール3』のみとなった(全米公開7月26日)。24年に公開予定だった『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド(原題)』『サンダーボルツ(原題)』は25年に延期された。全米映画俳優組合が行ったストライキの影響で製作に大幅に遅れが生じたからだ。『デッドプール3』はストライキ突入前に全体の半分を撮り終えており、24年公開に完成が間に合う。
実はマーベル映画にとって、24年に『デッドプール3』の公開しかないのは好都合だ。というのも、11月公開の『マーベルズ』が興行不振で、「観客はアメコミヒーロー映画に飽きているのではないか」とみられているからだ。12月24日時点で、米国の興収が8400万ドル、米国外が1億2100万ドル、合計した世界興収は2億500万ドル。この数字は08年公開『インクレディブル・ハルク』(米国1億3500万ドル、米国外1億3000万ドル、世界2億6500万ドル)を下回りマーベル映画史上最低の興行成績となる。『デッドプール3』はデッドプールが初めてMCUに合流する作品であり、人気キャラクターのウルヴァリンも再登場するのでファンの期待は大きい。『マーベルズ』の興行不振を打開し、再びMCUに弾みをつけるのにふさわしい1本だ。
DC映画も1本で、『ジョーカー』の続編『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ(原題)』が公開予定(公開時期未発表)。DC映画は過渡期にあり、22年10月にDCスタジオのトップに就任したジェームズ・ガン監督とプロデューサーのピーター・サフランが放つ「新生DCユニバース」は25年『スーパーマン:レガシー(原題)』で幕を開ける。ちなみに『ジョーカー~』は新生DCユニバースから独立した作品群「DCエルスワールズ」に属している。
ソニー・ピクチャーズがスパイダーマンに登場する人気キャラクターを主役に製作する映画は3本公開される。未来を予知する能力を持つヒロインが活躍する『マダム・ウェブ』(全米公開2月14日、日本公開2月28日)、スパイダーマンの宿敵クレイヴン・ザ・ハンターを主人公にした『クレイヴン・ザ・ハンター』(全米公開8月30日)、シリーズ3作目『ヴェノム3』(全米公開11月8日)。ソニーのスパイダーマン映画が年3本公開されるのは初めてのこと。興行的な成否が、今後のシリーズ化の行方を占う試金石になるだろう。
23年の日本映画興行は、年間興行ランキングのトップ4をアニメ映画が占めた。24年もアニメ映画が牽引しそう。2月2日公開『「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ』は、23年2月公開『「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』と同じく、前テレビシリーズの最終話と新シリーズの1話を上映するもの。『上弦集結~』は興収41.5億円の大ヒットを記録した。
春から夏にかけては毎年恒例の定番シリーズが揃い、3月1日公開『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』、4月12日公開『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』、夏公開『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』と並ぶ。特に『コナン』は23年公開『黒鉄の魚影(サブマリン)』が興収138.3億円とシリーズ最高記録を更新。『100万ドルの五稜星』も興収100億円超えとなれば、年間1位の座も見えてくる。
洋画アニメでは、夏に『インサイド・ヘッド2』『怪盗グルー』新作が控える。15年公開『インサイド・ヘッド』は40.4億円、17年公開『怪盗グルーのミニオン大脱走』73.1億円、22年公開『ミニオンズ フィーバー』44.4億円を記録しており、新作の興行への期待値は大きい。(文:相良智弘/フリーライター)
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