アメリカで4年に1度の大統領選挙のちょうど間の時期に行われる中間選挙の投票が11月6日(現地時間)に迫っている。通常、投票率はそれほど上がらないと言われているが、今回は全米で関心がいつになく高まっている。それに拍車をかけているのが、セレブたちがSNSを通じて行う政治観表明や選挙投票を呼びかける行動だ。
・テイラー・スウィフト、たった24時間で約6万5000人を動かす!
10月7日(現地時間)、それまで政治的発言はほとんどしてこなかったテイラー・スウィフトが11月の中間選挙で地元テネシー州の民主党候補を支持する旨をインスタグラムで表明、フォロワーたちに投票へ行くよう呼びかけた。その後24時間で6万5000人が投票のために必須の有権者登録を行い、影響力の強さがうかがえた。
欧米ではセレブが自らの政治的立場を明らかにし、意見を述べることは少なくない。アメリカの大統領選挙の際、ハリウッドの大物スターは支持候補のキャンペーンに積極的に協力するし、2016年にはイギリスの欧州連合からの脱退(ブレグジット)をめぐってJ・K・ローリングやミック・ジャガーなどイギリス人のセレブたちが持論を述べた。
一方で保守派には、共和党から立候補してカリフォルニア州知事も務めたアーノルド・シュワルツェネッガー、ジョン・ヴォイトらがいる。カリフォルニア州カーメルの市長を務めたクリント・イーストウッドも共和党支持者として知られている。といっても、シュワルツェネッガーはトランプ大統領の政策に異を唱えていて、大統領とSNSで論争になったことも。
セレブの政治発言が目立つようになった背景にSNSの発達が大きく関わっているのは明白だ。人気者になるとフォロワー数は百万単位、テイラーやセレーナ・ゴメス、アリアナ・グランデ、ビヨンセ、ドウェイン・ジョンソンなど1億を超えるセレブたちもいて、彼らはその影響力を善い方向に生かしたいと考える。自身の政治観を押しつけるというより、自分で考えて投票をすることを勧めるスタイルが多い。
セレブの投稿は確かに膨大な数のフォロワーの目に触れるが、それを受けとった側がどのような行動に移すかはまた別問題だ。マーク・ウォルバーグは2016年の大統領選が終わった直後、「誰もセレブの発言なんて聞いていないことがわかっただけだ」「大勢のセレブが政治について意見を述べたけど、そんなことをすべきじゃなかったね」と語った。『トランスフォーマー』シリーズのジョシュ・デュアメルも2017年に「政治活動には全然関わりたくない。僕の政治観なんて誰も気にしていない。自分の政治観を人々が気にかけていると思う人間がエンターテインメント業界にいるとしたら、その人物は誤解してると思う」と話している。ちなみにデュアメルは2016年の大統領選ではインスタグラムでファンに投票するよう呼びかけていた。90年代に大ヒットしたTVシリーズ「Xファイル」のジリアン・アンダーソンも、インタビューで政治について話したくないという。「私は俳優で、(政治について)理解していないこともたくさんある。トランプやブレグジットについて、よくわかりもしないのに話をしたくない」と語った。
トランプ政権発足からまもなく2年。中間選挙の関心度の高まりにはテイラー・スウィフトを始め、セレブたちの発言の影響力も大いにあったと言えそうだ。
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