第96回アカデミー賞、『オッペンハイマー』が最多7部門を受賞！ 『君たちはどう生きるか』は長編アニメ映画賞に輝く

『ゴジラ-1.0』は視覚効果賞を受賞！

10日（現地時間）、アメリカのロサンゼルスで第96回アカデミー賞授賞式が開催され、『オッペンハイマー』が作品賞ほか最多７部門を受賞、日本からノミネートされた『ゴジラ-1.0』が視覚効果賞、『君たちはどう生きるか』が長編アニメ映画賞を受賞した。

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太平洋戦争末期にアメリカ軍によって広島と長崎に投下された原子爆弾を開発し、“原爆の父”と呼ばれた科学者J・ロバート・オッペンハイマーの半生を描く『オッペンハイマー』は昨夏から全米や世界各地で公開され、大ヒットを記録し、オスカー前哨戦の各映画賞を制して圧倒的な強さを見せてきた。その勢いのまま、作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、撮影賞、編集賞、作曲賞など全７部門を受賞した。

初ノミネートで初受賞を果たしたキリアン・マーフィーは、「私たちは原子爆弾を創造した男についての映画を作りました。そして、よくも悪くも私たちはオッペンハイマーが作った世界に生きています。だからこそ、この賞を世界中の平和を作る人々に捧げたいです」と語った。

エマ・ストーンが主演女優賞を受賞した『哀れなるものたち』が美術賞、衣装賞、メイクアップ・スタイリング賞の全4部問を受賞した。

主演女優賞を受賞したエマ・ストーンは喜びのあまりか、ドレスのホックが壊れてしまい、ステージに上がるなり「ドレスが壊れました」と涙ながらにスピーチを終えると、「ドレスの後ろは見ないで」と言いながらバックステージに向かった。

国際長編映画賞は大本命の『関心領域』が受賞。第二次世界大戦中のアウシュビッツ強制収容所の隣で平穏に暮らす収容所所長一家を描いた同作は音響賞も受賞した。

脚本賞を受賞したのは、女性として唯一の監督賞候補にもなった『落下の解剖学』のジュスティーヌ・トリエとパートナーのアルチュール・アラリ。

短編アニメーション賞を受賞した『ウォー・イズ・オーヴァー！』はジョン・レノンとオノヨーコ楽曲にインスパイアされた作品で、同作のプロデューサーを務めたショーン・オノ・レノンはスピーチで「今日はイギリスで母の日です。皆さんでヨーコに“Happy Mother’s Day”と言ってあげてください」と言い、会場が祝福の言葉を斉唱して締めくくった。

授賞式を最も沸かせたパフォーマンスは歌曲賞候補で『バービー」の「I’m Just Ken」を歌ったライアン・ゴズリング。助演男優賞候補でもある彼はショッキングピンクのスーツで人形のケンになりきって熱唱。ステージを降りて、グレタ・ガーウィグ監督やマーゴット・ロビー、アメリカ・フェラーラ、さらには『ラ・ラ・ラ・ランド』で共演したエマ・ストーンにまでマイクを向けて、ロックスターばりに会場を盛り上げた。（文：冨永由紀／映画ライター）

受賞結果は以下の通り。

作品賞
『オッペンハイマー』

監督賞
クリストファー・ノーラン

主演男優賞
キリアン・マーフィー（『オッペンハイマー』）

主演女優賞
エマ・ストーン（『哀れなるものたち』）

助演男優賞
ロバート・ダウニー・Jr（『オッペンハイマー』）

助演女優賞
ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ（『ホールドオーバーズ おいてけぼりのホリディ』）

長編アニメ賞
『君たちはどう生きるか』

 短編アニメ賞
『War Is Over! Inspired by the Music of John & Yoko』

脚本賞
『落下の解剖学』

脚色賞
『アメリカン・フィクション』

撮影賞
『オッペンハイマー』

美術賞
『哀れなるものたち』

音響賞
『関心領域』

編集賞
『オッペンハイマー』

視覚効果賞
『ゴジラ-1.0』

歌曲賞
What Was I Made For?（『バービー』）

作曲賞
『オッペンハイマー』

衣装賞
『哀れなるものたち』

メイクアップ・ヘアスタイリング賞
『哀れなるものたち』

国際長編映画賞
『関心領域』

短編実写映画賞
『ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語』

長編ドキュメンタリー賞
『実録 マリウポリの20日間』

短編ドキュメンタリー賞
『ラスト・リペア・ショップ』