巨額の製作費が必要なマーベル映画
ディズニーだから年間2本の製作が可能
7月21日に『アベンジャーズ/エンドゲーム』の世界興行収入が27億9020万ドルに到達。『アバター』を超えて歴代1位の座についたが、製作費も歴代最大級。映画情報サイト「IMDB.com」の推定では3億5600万ドルとなっている(『アバター』は2億3700万ドル)。ハリウッド映画は、アクション映画やファンタジー映画など大作となると製作費に1億ドル以上がかかる。CGなど特殊効果の製作に多額の人材と資金が必要となるからだ。近年のマーベル映画の製作費はIMDB.comによると以下の通り。
・7月公開作ランキング、1位から3位をアニメが独占! 歴代1位の記録も
16年『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』2億5000万ドル
16年『ドクター・ストレンジ』1億6500万ドル
17年『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』2億ドル
17年『マイティ・ソー バトルロイヤル』1億8000万ドル
18年『ブラックパンサー』2億ドル
18年『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』3億2100万ドル
18年『アントマン&ワスプ』1億6200万ドル
19年『キャプテン・マーベル』不明
19年『アベンジャーズ/エンドゲーム』3億5600万ドル
マーベル映画は年2本(年によっては3本)の製作体制なので、毎年巨額な製作費が必要となる。これを可能にしているのが親会社ウォルト・ディズニー・カンパニーだ。同社は映画部門の他、地上波テレビのABCやスポーツ専門チャンネルのESPNなどのメディア部門、ディズニーランドなどのテーマパーク部門、キャラクターグッズなどのコンシューマー部門があり、18年度の総売り上げは594億3400万ドルにのぼる。会社の規模が大きく、資金が潤沢だから製作費に惜しみなく投入。企画開発・脚本づくりにお金と時間をじっくりかけることができる。またこの資金力があるから、同社が独自に手掛ける新動画配信サービス「Disney+(ディズニー・プラス)」で、マーベル映画と連動した動画配信作品づくりもできるのだ。
7月下旬にアメリカ・サンディエゴで開催された「コミコン」でマーベル作品の映画とDisney+の今後ラインナップが発表された。映画は新キャラ、Disney+はアベンジャーズの人気キャラクターによる作品が揃った。
映画『ブラック・ウィドウ』(全米公開20年5月1日)
Disney+『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(20年秋)
映画『エターナルズ』(全米公開20年11月6日)
映画『シャン・チー・アンド・レジェンド・オブ・テン・リングス』(全米公開21年2月12日)
Disney+『ワンダヴィジョン』(21年春)
Disney+『ロキ』(21年春)
映画『ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス』(全米公開21年5月7日)
Disney+『ホワット・イフ…?』(21年夏)
Disney+『ホークアイ』(21年秋)
映画『マイティ・ソー/ラブ&サンダー』(全米公開21年11月5日)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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