イタリアの独裁者ムッソリーニが、軍服姿で現代ローマに甦る! 突然現れたムッソリーニは、最初はコスプレ好きなヘンなおじさん程度に思われるが、テレビ出演の機会を得ると、次第にそのカリスマ的演説が人々の心をつかんでいく。そんな様子をコミカルに、風刺を効かせて描いた映画『帰ってきたムッソリーニ』の本編映像が初解禁となった。
アドルフ・ヒトラーが現代に甦り、モノマネ芸人としてブレイクするという映画『帰ってきたヒトラー』が2016年に日本でも公開され話題を呼んだが、本作はそのイタリア版。ドイツで200万部以上を売り上げたベストセラー小説「帰ってきたヒトラー」(ティムール・ヴェルメシュ著)が原作で、今回は舞台をドイツから現代イタリアに置きかえ、ルカ・ミニエーロ監督が映画化した。
ムッソリーニが生きていた時代とは大きく異なり、市内を褐色の肌の人が闊歩し、同性カップルもいる。道行く若者にスマホでの撮影をせがまれるなど、彼が見たこともない世界がそこにあった。イタリアを第2次世界大戦へ導いた戦犯として、戦後処刑されたムッソリーニ。ドイツのヒトラーも彼に憧れ、ナチス式敬礼や総統(フューラー)という敬称は、ムッソリーニにならって生み出されたという。
イタリア屈指のヒットメーカーであるミニエーロ監督は「イタリア人は、ドイツ人と比べてかつての自国の独裁者(ムッソリーニ)をきちんと受け止めてこなかった。まるで彼の危険性を甘く見ているかのようだ」と語る。そんな監督が、もし今の世に、変わらぬ扇動力やカリスマ性を誇るムッソリーニが甦ったらという視点から描いたのが、この作品だ。
解禁となった映像は、甦ったムッソリーニ(マッシモ・ポポリツィオ)が、自分が死んでから今日までの出来事を、新聞などの書物から学習しているシーン。銃殺され、逆さ吊りになる映像や、ヒトラーと並んで凱旋する貴重なドキュメンタリー映像とともに、イタリアの現代史が映し出されていく。
『帰ってきたムッソリーニ』は9月20日より新宿武蔵野館ほかにて公開となる。
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