村上春樹の作品が初アニメ化!磯村勇斗が日本語版声優務め「きっと皆さんの心の中で何かが蠢く気がしています」
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東日本大震災から5日後の東京を舞台に“ライブ・アニメーション”の手法で描く
村上春樹の作品を初めてアニメ映画化した『めくらやなぎと眠る女』が、英語版に加え、日本語版でも上映されることが決定した。ピエール・フォルデス監督が生み出した“ライブ・アニメーション”の手法を踏襲しながら、深田晃司監督が日本語版の演出を担当し、磯村勇斗、玄理、塚本晋也、古舘寛治らが声優を務める。
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本作は、音楽家でアニメーション作家のピエール・フォルデスが、村上春樹の6つの短編(「かえるくん、東京を救う」「バースデイ・ガール」「かいつぶり」「ねじまき鳥と火曜日の女たち」「UFOが釧路に降りる」「めくらやなぎと、眠る女」)を翻案した作品。村上作品がアニメーション映画化されるのは初となる。
2011年の東京。東日本大震災から5日後、刻々と被害を伝えるテレビのニュースを見続けたキョウコは、置き手紙をのこして小村のもとから姿を消した。妻の突然の失踪に呆然とする小村は、図らずも中身の知れない小箱を女性に届けるために北海道へと向かうことになる。
同じ頃のある晩、小村の同僚の片桐が家に帰ると、そこには2メートルもの巨大な「かえるくん」が彼を待ち受けていた。かえるくんは迫りくる次の地震から東京を救うため、こともあろうに控えめで臆病な片桐に助けを求めるのだった。
めくらやなぎ、巨大なミミズ、謎の小箱、どこまでも続く暗い廊下——大地震の余波は遠い記憶や夢へと姿を変えて、小村とキョウコ、そして片桐の心に忍び込む。人生に行き詰まった彼らは本当の自分を取り戻すことができるのだろうか。
大地震によって、人生に行き詰まっていることすら気づいていなかった人々が、自己のなかの真実に気づき、目覚めていく。あるものはかけがえのない出会いを、あるものは決定的な別離を体験する。フォルデス監督が「言葉にならないほど繊細で、想像を超えるほど奥深い感情、そんな感情を掻き立てる小説を使わないことなど考えられなかった」と語る6つの短編を再構成した本作には、それぞれの短編のもつ美しさやリズムが失われることなく一つの流れの中で生きている。
フォルデス監督が「ミステリアスなものが絶え間なく問いを生み出すような雰囲気を目指した」と語る<イメージ>のなかに、実際の俳優の動きを撮影してアニメーションの動きに取り込む“ライブ・アニメーション“とよぶオリジナルの手法でリアリティを植え付けることにより、唯一無二の世界観が生みだされた。
日本語版では、原作の世界観にふさわしいリアルな演技を重視してキャスティングが行われた。ストーリーを牽引する小村に磯村勇斗、突然失踪してしまう小村の妻を玄理、小村の同僚で東京を救うべく“かえるくん”とタッグを組む片桐に塚本晋也、村上春樹ファンからの人気も高いキャラクター“かえるくん”に古舘寛治ら実力派の俳優を起用。さらに木竜麻生、川島鈴遥、梅谷祐成、岩瀬亮、内田慈、戸井勝海、平田満、柄本明と錚々たる面々が集結し、映画監督の深田晃司が演出を担当するという夢のコラボレーションとなった。
当初から日本語での制作を夢見ていたフォルデス監督。東京を舞台にしたオリジナル(英語)版に、日本キャストたちが新しいリアリティを吹き込んだことで、オリジナルとも異なる感触を持った“日本語版”が誕生した。本作に参加したキャスト陣と演出を手掛けた深田監督のコメントは以下となる。
■小村役:磯村勇斗
村上春樹さん原作、初アニメーション映画に小村役で携わることができとても嬉しく思います。アフレコの現場では、映像現場のように声を収録し、ピエール・フォルデス監督と深田晃司監督の演出のもと、細かい表現まで話し合いながら、丁寧にアニメーションへと息吹きを注ぎました。不思議な魅力ある世界での壮大な旅は、きっと皆さんの心の中で何かが蠢く気がしています。ぜひ劇場でご覧頂きたいです。
■キョウコ役:玄理
村上春樹さん原作の作品に出演することは私の夢の一つでした。しかもアニメで、初めての声のお仕事で叶うとは。バラバラの6つの短編の繋ぎ目はどこなんでしょうか、巧妙に縫い込まれた小村とキョウコとかえるくんの世界に引き込まれて見終わった後もずっとこの時間の中に漂っていたくなる、そんな作品です。これは2009年にNYで種蒔かれて、パリで芽を出し、東京で今花咲いた私たちの物語。
■片桐役:塚本晋也
暗さと明るさに満ちた、目を反らせることのできない世界。そこにひととき住まわせていただいた。監督と話しあったのは、分かりやすいものだけがいいものではない、ということ。簡単に見つからない答えに思いを巡らせながら、その世界に身を任せる。余韻に浸る。言葉でないところで感じたものが宝物になるはずだ。
■かえるくん役:古舘寛治
不思議な作品です。日本を舞台にした日本人の話を外国の監督が作るアニメ。それだけでもあまり聞いたことがない。それによって不思議な世界が描かれてます。もともと英語を話す俳優で芝居を撮ってからそれをアニメにしたということで英語版の方が絵とセリフがピッタリハマってリアルなんだけど、作品のリアルは日本人だから日本語版の方がリアルに戻ってるとも言える。なのにアテレコという。そのズレも不思議さに拍車をかけている。しかし…アテレコは正直とても難しかったです。
■シマオ役:木竜麻生
ピエール監督と深田晃司監督のもと、ご一緒するシーンのあった磯村勇斗さん、内田慈さんにも助けていただきながら、シマオの声を演じられてとても嬉しく思います。表現のなかで「声」というものの持つ良さ、難しさ、奥深さを感じましたし、とても学びの多い刺激的な経験でした。『めくらやなぎと眠る女』ぜひ日本語吹き替え版でも楽しんでいただけたらと思います。
■小村の隣人の少女役:川島鈴遥
静かな日常生活の中で起こる出来事によって揺れ動く内面を、繊細かつ大胆に描いたミステリアスな世界感。見終わるとふわっとどこかへ飛んでいけるような軽さが身体に残る感覚が心地よく魅力的で、この作品に参加できたことをとても嬉しく思います。ぜひ劇場で、『めくらやなぎと眠る女』の世界観に触れてみてください。
■小村の甥のジュンペイ役:梅谷祐成
この作品を初めて見た時、素敵な音楽にすぐ異世界に連れて行かれました。そこには地震という動かせない現実をベースに分岐点を迎える様々な人間模様が夢みたいに響きました。夢から覚めた時、見えない所の人や事柄に想いを馳せる大切さを学んだ気がします。声の仕事は初めてで難しかったですが、素晴らしい作品に関われる事ができ自分にとっても光栄な分岐点になりました。
■小村と片桐の同僚・佐々木役:岩瀬亮
深田晃司さんと土居伸彰さんがタッグを組んでレコーディングする!というこんな贅沢な作品に参加できてとても幸せでした。さらに収録にはピエールさんも立ち合い、スタジオでは3人の個性と知性と作品愛のシャワーを浴びた気分でした。美しく不穏な絵と音の中で、妙に真実味のある目線や時に滑稽な仕草をする登場人物たち。彼ら、彼女らの旅を追いながら、夢と現実、ニュースと寓話、そういうものの境界が曖昧になっていく感覚を、ぜひ映画館で感じてください。
■佐々木の妹・ケイコ役:内田慈
6篇の短編がまるで最初から1篇だったかのように見事に1つの物語になっていて、ピエール・フォルデス監督の原作リスペクトと世界を広げる表現力に驚きました。深田晃司監督のディレクションの元に行われた日本語版の収録は、アテレコでなくあくまで芝居を模索するという一貫した手法で、日本語のリアリティを探りながら作り上げていく作業はとても濃密でした。シマオ役の木竜麻生さんと揃えてリアクションをするシーンがとても楽しかった。アニメの枠も映画の枠も飛び越えたミステリアスで魅力的な作品。
■小村と片桐の上司・鈴木役:戸井勝海
見ていて最初に感じたこと。全ての人物が本当にそこで息づいていて、僕が普段見ているアニメよりももっとリアルに存在していて、とても寄り添ってくれているようでした。村上春樹さん原作の小説の持つ何とも言えない、体にまとわりついてくるような湿度と同時に妙にカラッとしている空気感。それが日本のアニメでもアメリカのでもなく、フランスだからこそ見事にはまっているような気がしました。昔好きだった仏映画を思い出しました。見終わって少しするとまた、なんとも不思議な空気に包まれたくなって、すでに沼にハマりそうです。
■キョウコの友人・ケン役:平田満
妙にリアルな現代日本と変に生っぽい日本人を描き、独特な世界観のアニメーションを、ピエール・フォルデス監督、深田晃司監督両演出のもとに日本人の僕らが吹き替えるという、不思議な体験でした。ネガティブな気持ちとどう向き合うべきか…。その心もとなさ、浮遊感が、村上春樹作品の読後感とも通じているような気がしました。
■キョウコの元バイト先のオーナー役:柄本明
台本を読ませていただいて感じたことと、実際にアニメーションをみて、アテレコをしたときは大分感じが変わりました。一生懸命絵と格闘しながらやらせていただきました。ぜひ見ていただけたら嬉しいです。
■演出:深田晃司
日本語版を熱望するピエール監督の前代未聞な情熱に巻き込まれながら進む収録が、楽しくないはずはありませんでした。俳優たちの言葉にじっと耳を澄ませるピエール監督と話し合いながら、作品を1から刷新するような気持ちで臨みました。どうやら監督はこの日本語版でもともとの英語版を越えようとしてきている、その緊張感は俳優たちにも伝わっていたのではないかと思います。かつてないほど人間臭く描かれた村上春樹の世界をぜひ楽しんでください。
『めくらやなぎと眠る女』は7月26日より全国公開。
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