『パラサイト 半地下の家族』が作品賞、監督賞、脚本賞、国際映画賞の4冠を達成した第92回アカデミー賞。台詞が外国語の映画が史上初目て作品賞受賞、という快挙は世界中で大ニュースとなった。
・シアーシャ・ローナン、ティモシー・シャラメ、ペネロペ・クルスらのサスティナブルなドレスの画像はコチラ
事前には、女性監督候補の不在や俳優部門の候補はアフリカ系のシンシア・エリヴォ(『ハリエット』)を除いて全員白人だったことから、多様性を欠くと批判の声も多かったが、授賞結果がそれを覆す結果となった。
実は華やかなレッドカーペットでも、美しくドレスアップした出席者たちが思い思いの主張を装いに忍ばせていた。
ナタリー・ポートマンはディオールのドレスに黒のケープを羽織り、色調は地味だったが、実はケープに金糸で刺繍があった。それはグレタ・ガーウィグ(『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』)、ルル・ワン(『フェアウェル』)、ローリーン・スカファリア(『ハスラーズ』)など、前哨戦の映画賞で高い評価を受けながらオスカー候補に選出されなかった女性監督たちの名前。自身も監督として映画を撮るナタリーならではの主張だった。
また、紛争の最中のシリアでカメラを回し続け、長編ドキュメンタリー賞候補となった『娘は戦場で生まれた』のワアド・アルカティーブ監督は夫と愛娘とレッドカーペットを歩いたが、ピンクのドレスに大きたアラブ文字の刺繍がほどこされていた。書かれていたのは「私たちは夢を見ることを恐れなかった。そして尊厳を求めることを後悔しない」という言葉。ある詩の一節を監督自身が選び、彼女の友人たちがドレスを1週間で仕上げたという。
歌曲賞候補の「イントゥ・ジ・アンノウン」(『アナと雪の女王2』)のパフォーマンスに、世界9カ国の“エルザ”の1人として歌声を披露した松たか子はレッドカーペットには着物で登場した。帯は以前に母親から譲り受けたものだという。親子で受け継ぐ着物でサステイナビリティを示した形になった。
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