映画館は夏まで閉鎖の可能性も。新型コロナが襲うアメリカ映画界、日本への影響は?

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『ブラック・ウィドウ』
(C)Marvel Studios 2020
『ブラック・ウィドウ』
(C)Marvel Studios 2020

新型コロナウイルスの感染拡大で、アメリカのほぼすべての映画館が閉鎖されている。米疾病対策センター(CDC)は3月15日(現地時間)、感染拡大防止策の一環として、50人以上のイベントを中止するよう勧告。その結果、ほぼすべてのシネコンチェーンが劇場を閉鎖した。

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634ヵ所のシネコンを有する全米最大のシネコンチェーン、AMCは17日に「閉鎖は今後6〜12週間になりそう」と発表。18日付の米業界紙バラエティは、最善のシナリオでは5月中旬に劇場を再開、最悪のシナリオでは夏まで閉鎖と予測している。米国での感染者数が最も多く、州民に原則自宅待機を命じているニューヨーク州のクオモ知事は21日に「収束まで数週間ではなく、数ヵ月はかかる」と語っており、バラエティ紙が予測する最悪のシナリオを上回る可能性も出ている。

これまでに全米で公開延期となった主な作品は以下の通り

『クワイエット・プレイス PARTII』全米3月20日公開→公開時期未定
『ムーラン』全米3月27日公開→公開時期未定
『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』全米4月10日公開→11月25日公開
『ブラック・ウィドウ』全米5月1日公開→公開時期未定
『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』全米5月22日公開→21年4月2日公開
『ミニオンズ フィーバー』全米7月3日公開→公開時期未定
(イルミネーションのフランスのスタジオが感染拡大で閉鎖され、公開までに映画の完成が間に合わないと判断され、公開が延期された)

ハリウッド映画はまずアメリカで公開される。日本で映画館が営業していても、アメリカの映画館が営業を開始しなければ、日本で新作のハリウッド映画が上映されない状況だ。『ムーラン』は当初、日本では「4月17日公開を5月22日に延期」とディズニーが3月2日に発表したが、この時は米国で3月27日の公開を予定していた。だがその後、米国で公開延期となったので、日本でも公開延期となった。

公開延期はいつまで続くのか。バラエティ紙が予測する最悪のシナリオが「夏まで」。『ミニオンズ フィーバー』のように製作が進行中の場合、公開までに完成が間に合わず延期される作品が今後も出てくる可能性はある。

今後公開予定の主なハリウッド大作映画は以下の通り
『ワンダーウーマン 1984』全米6月5日公開、日本6月15日公開
『ソウルフル・ワールド』全米6月19日公開、日本夏公開
『トップガン マーヴェリック』 全米6月24日公開、日本7月10日公開
『ゴーストバスターズ/アフターライフ』全米7月10日公開、日本20年公開
『TENET テネット』全米7月17日公開、日本9月18日公開
『ジャングル・クルーズ』全米・日本7月24日公開

感染拡大の収束が見通せない中、既にアメリカで公開済みの映画だけが日本で公開できる。限られた作品の中で映画館はラインナップに苦慮することになりそうだ。(文:相良智弘/フリーライター)

相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。